[III-OR33-05] 当院の術後肺静脈狭窄(PVS)症例に対する計画的カテーテル治療(CI)の試み
Keywords:肺静脈狭窄, カテーテル治療, 総肺静脈還流異常症
【背景】PVSに対する治療戦略は未だ困難であり、工夫が必要である。当院ではCIによる早期かつ計画的な介入を行い、一定の成果を上げているため、報告する。【対象/方法】対象は2006年以降にPVSに対してCIを施行した7症例。CI施行時に狭窄の進行する時期の予測を立て次回のCIを計画する方針とした。【結果】 7症例は0.5-8.4(3)歳、男児5例、女児2例。診断は無脾症候群2例、総肺静脈還流異常(TAPVC)単独が5例、TAPVCは1a:2例、2b:2例、mixed type:3例であった。TAPVC repairは日齢1-87(8)に施行、外科的PVS解除術は1-4(2)回施行され、完全閉塞は0-3(2)病変、PVSは1-4(2)病変、PVSに対するCI総数は1-13(10)回、年齢毎のCIは0-1歳:0-7(2)回、1-2歳:1-9(5)回、2-3歳:0-5(4)回、インターバルは0-1歳:1-3(2)ヶ月、1-2歳:1.5-7(3)ヶ月、2-3歳:1.5-9(6)ヶ月である。CI開始後に完全閉塞に至ったのは1病変のみ。Stent留置術は2例、4例には薬剤溶出性バルーン(DCB)(院内の倫理委員会の承認済み)を、1例にカッティングバルーンとスコアリングバルーン(SB)を使用し、CIのインターバルの延長及び完全閉塞の回避に寄与した。【考察】PVSが進行する前にCIを考慮し早期に介入する戦略が功を奏している。はじめは1-2ヶ月に1回のCIが必要であった症例も、回数を重ねるうちに半年に1回程度まで治療の期間を延ばす事が出来た。またDCBやSB等を併用する事により、より良い効果を得た。しかし、CIが不要になる事はなく、一定期間毎に治療が必要であるが、QOLの改善には大きく寄与している。stent治療に踏み切るタイミングは難しく、位置によっては再拡張が出来なくなる可能性もあり、当院では慎重なスタンスを取っている。【結論】PVS症例に対し、繰り返し早期かつ計画的にCIを行う事は完全閉塞を予防し、予後の改善につながる。