第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演35(III-OR35)
外科治療 4

2018年7月7日(土) 10:50 〜 11:50 第4会場 (303)

座長:崔 禎浩(宮城県立こども病院 心臓血管外科)
座長:藤原 慶一(兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科)

[III-OR35-02] シャント術後に根治術を施行したファロー四徴症患児における肺動脈弁輪径の変化

和田 侑星1, 櫻井 一1, 野中 利通1, 櫻井 寛久1, 杉浦 純也1, 大沢 拓哉1, 大橋 直樹2, 西川 浩2, 吉田 修一朗2, 加藤 温子2, 大森 大輔2 (1.中京病院こどもハートセンター 心臓血管外科, 2.中京病院こどもハートセンター 小児循環器科)

キーワード:ファロー四徴症, シャント手術, 肺動脈弁輪径

【背景と目的】ファロー四徴症に対する治療戦略は一期的根治術を選択する症例や,患児の状態によってはシャント手術を経て根治術を施行することがある.術後晩期の合併症として肺動脈弁逆流による右室機能不全が挙げられ,根治術時の弁輪温存が合併症回避の一つのポイントと考えられる.シャント術後に肺動脈弁輪径(P弁輪径)が成長し,根治術時の弁輪温存に寄与するという報告もあり,当院における該当患児において検討した.【方法】2010年から2017年までの7年間のファロー四徴症患児15例を対象としシャント術前と根治術前の患者背景,P弁輪径,手術成績などを比較検討した.【結果】シャント術前の平均月齢,平均体重はそれぞれ3.1±2.9ヵ月(中央値2.1ヵ月),5.1±1.7Kg(中央値4.8Kg),根治術前では11.1±2.0か月(中央値11.0ヵ月),7.7±1.2Kg(中央値7.6ヵ月)で,シャント術から根治術までの平均期間は8.0±2.9ヵ月(中央値8.5ヵ月)であった.P弁輪径の平均値とP弁輪径 % of Nの平均値はシャント術前でそれぞれ4.70±1.01mm(中央値4.30mm),52.5±12.7%(中央値52.0 %)で,根治術前では6.93±0.81mm(中央値7.20mm),63.3±9.13%(中央値65.0%)と根治術前で有意にP弁輪径の拡大を認めた(P=0.003).左右肺動脈径の比較でも根治術前で有意に径の拡大を認めた.根治術においては15例中7例(47%)で弁輪温存術が施行された.弁輪温存例,非温存例のP弁輪径 % of Nの平均値はそれぞれ69.7%±6.0%,57.5±7.6%であった.P弁輪径 % of Nが根治術前に70%以上の症例では全例弁輪温存が可能であった.【考察と結論】自験例ではファロー四徴症患者に対してシャント術後にP弁輪径の有意な拡大を認めた.P弁輪径の小さな患児において初回手術介入としてシャント手術を選択した際に,弁輪径の拡大が期待でき根治術施行時における弁輪温存につながる可能性があると考えられた.