[III-OR35-03] PLE, 心不全を伴うfailing Fontanに対するpacemaker/CRT治療の経験と検討
Keywords:Fontan failure, Pacemaker, CRT
【背景・目的】近年肺血管拡張薬の導入等によりFontan手術の適応拡大と長期予後の改善が認められる一方、遠隔期の様々な合併症によるFontan failureとその治療法が問題となっている。そういった中で不整脈管理のみならず心拍出量改善を目的としたペースメーカー治療も選択肢の一つであり、今回pacemaker/CRT治療を試みた重症failing Fontan症例について術式と治療効果に関して検討を行った。【対象・方法】対象は当施設において術後にpacemaker/CRT埋込手術を行ったPLE, 心不全を伴うfailing Fontan 4例(male:3, age:15-32y.o.)。原疾患はそれぞれSA+SV、DORV+PS、TGA+PS、unbalanced AVSD+hypo LVで、ECC-Fontan術後経過年数は10-15年。これら4症例において術式と治療効果について検討を行った。【結果】いずれも不整脈(SSS, AVB, Dyssynchrony)による低心拍出がFontan failureの原因と考えられ、内科的治療に抵抗性でNYHA III-IV°の状態であった。手術は胸骨正中切開にて心筋リードを選択、3例はpartial sternotomyにて心房心室にリードを縫着しDDD pacingとしたが、AVB+dyssynchrony症例はCRT適応であり体外循環使用下に心大血管をdecompressionした上でfull sternotomy+左側開胸にて右房および両心室にリードを縫着した。全例埋め込み術後は重篤な合併症なく方針に沿ったpacing modeにて治療を行った。3例は症状・所見の消失・改善が得られ外来通院となったが、1例は改善なくさらなる外科的治療を追加したが最終的にはFontan take-downに至った。【結語】Fontan循環不全治療においてpacemaker/CRT治療は、至適心拍数管理のみならず適切な房室伝導調節により心拍出量を増やす選択肢の一つとなりうるが、再手術となる点を考慮した上で、1)AV sequential pacingの重要性、2)用いる心筋リードの部位と種類、3)埋込で得られる効果と侵襲、を併せて検討した上で選択することが重要であると考えられた。