[III-OR35-05] Fontan術後にVSD狭小化のため左室圧上昇をきたしたunbalanced AVSD, DORVの1例
Keywords:Fontan, VSD, 狭小化
DORVのFontan術後で,VSD狭小化のためoversystemicの左室圧上昇をきたし,減圧術を要した1例を経験したので報告する.【症例】生後2日に転院搬送され,UCGでunbalanced AVSD, DORV, moderate AVVR, straddling MV, mild PSと診断.肺血流バランスはよく外来経過観察とし生後11ヵ月で心カテ:PAp 12, RVp 70, LVp 71 mmHg, RpI 1.75, PA index 180, RV 239 %N, LV 88%N.Straddling MVのため単心室修復の方針とし生後12ヵ月時にBDG, PA banding, 2弁口化によるAVV plastyを施行.術後7日目にtapeのmigrationにより再固定術を要したが,AVVRはmildとなり退院.1歳11ヵ月時の心カテ:LVp 81, AOp 79 mmHg, RpI 0.9, PA index 200.2歳3ヵ月時にTCPC型Fontan手術を行い術後38日目に退院.4歳時(Fontan術後2年)の心カテ:LVp 200/e5, RVp 80, AOp 80, CVp 11 mmHgで,LVpがoversystemicとなっていた.VSD狭小化が原因と考えられたが房室弁機能を温存してのVSD拡大術は困難が予想され経過観察とした.5歳時の心カテ:LVp 220/e24, RVp 95/e5, CVp 14 mmHgとなり進行を認めたため再手術の方針とした.2弁口化してあった弁尖を切開,狭小化原因の肥厚した腱索と乳頭筋を部分切除し,再度弁尖縫合.術後AVVRの悪化はなく,術後2ヵ月時の心カテ:LVp 100/e10, RVp 83/e10, AOp 84 mmHgに改善,さらに2年後:LVp 130/e12, RVp 100/e13で明らかな再進行は認めなかった.【考察および結語】VSD狭小化の原因として,もともと小さめだった,両大血管とも完全に右室から起始しており左室血流の出口が完全にVSDしかなかった,比較的左室が大きく血流が多かった,などが考えられた.このような形態では術後もVSDの狭小化が進行する可能性があり注意深く経過観察し,必要なら手術介入するべきと思われた.