[III-OR36-04] 両側肺動脈絞扼術に対するバルーン拡張術の有用性
Keywords:両側肺動脈絞扼術, 経皮的肺動脈バルーン拡張術, 肺動脈狭窄
【背景】左心狭窄疾患に対して両側肺動脈絞扼術(bPAB)による待機手術が有用とされるが、一方で肺動脈狭窄のリスクが上昇することも報告されている。当院ではNorwood+BDGや二期的根治術症例に低酸素血症改善や肺血管発育を目的として、バルーン拡張術(BAP)を行っている。【目的】bPABに対するBAPの有効性を明らかにすること。【対象】2015年7月から2017年8月までにbPABを施行した41例のうち、BAPを行った15例(36.5%)を対象とし、診療録より後方視的に検討した。【結果】男児10例、疾患はHLHS /類縁疾患6例、左室流出路狭窄+CoA/IAA complex 5例、単心室+CoA/IAA complex 3例、総動脈幹症1例。在胎週数は平均38.1週、出生体重は平均2647g、胎児診断症例が10例。平均8.7生日でbPABを施行し(周径9-11mm)、7例に絞扼テープを2段階に結紮する工夫を行った。BAPはbPABから平均126日で施行し、主に3.5mm(3.25-4.0)の冠動脈バルーンを使用した。BAP後、SpO2は平均77%から84%に上昇した。1例で一過性房室ブロック、1例で房室弁逆流増悪を認めた。平均217生日で9例がNorwood手術または根治手術へと進み、そのうち5例は肺動脈形成が不要であった。PAIは平均でbPAB前183 mm2/m2から根治手術前284 mm2/m2と上昇した。根治手術前のPAIはBAP未施行群(162 mm2/m2)と比較し、BAP群がより大きい傾向があった(p=0.11)。さらにPAIの上昇はbPABを工夫した群(Δ141 mm2/m2)で、工夫なし群(Δ94 mm2/m2)より上昇した(p=0.09)。【結語】bPABに対するBAPは、低酸素血症改善や肺血管発育に有益であり、重要な治療選択の一つになる。