[III-OR36-06] 右室低形成を伴う純型肺動脈閉鎖および重症肺動脈弁狭窄の治療戦略の検討
キーワード:純型肺動脈閉鎖, 重症肺動脈狭窄, 右室低形成
【背景】右室低形成を伴う純型肺動脈閉鎖や重症肺動脈弁狭窄の治療は合併病変により2心室修復から単心室修復まで幅広く、また施設によっても治療方針が異なる。当院では右室低形成を伴う場合、外科手術により肺動脈弁形成術と右室拡大術、心房中隔欠損部分閉鎖を行い2心室修復が可能となった症例が少なくない。今回、当院での症例について治療方針と結果を検討した。【方法】2006年から2017年の間に当院で初回治療を行った右室低形成を伴う純型肺動脈閉鎖11例と重症肺動脈弁狭窄5例の全16例における修復方法と術前の右室拡張末期容量と三尖弁輪径の関連を検討した。右室拡張末期容量は心臓カテーテルの右室造影で、三尖弁輪径は心臓超音波検査の四腔断面像で計測した。【結果】純型肺動脈閉鎖では全例で外科手術を施行し、2心室修復が5例、単心室修復が5例、1.5心室修復が1例であった。重症肺動脈弁狭窄は全例で2心室修復が可能であり、3例は経皮的肺動脈弁形成術を施行した。単心室修復例の3 例で右室依存性の類洞交通を認めた。2心室修復例は右室拡張末期容量の中央値71%N、三尖弁輪径のz valueの中央値-1.4であったのに対し、単心室修復例は右室拡張末期容量の中央値24%N、三尖弁輪径のz valueの中央値-12.8と有意に小さかった。2心室修復例10例のうち純型肺動脈閉鎖5例と重症肺動脈弁狭窄2例の計7例が肺動脈弁形成術と右室拡大術を施行しており、外科手術例は経皮的肺動脈弁形成術例よりも右室拡張末期径、三尖弁輪径ともに小さかったが有意差は認めなかった。外科手術を施行した2心室症例は心房間の右左短絡のために在宅酸素を要する症例があったが成長に伴い中止可能で、術後遠隔期にも安定した血行動態を維持している。【結論】右室低形成を伴う純型肺動脈閉鎖や重症肺動脈弁狭窄に対し肺動脈弁形成術と右室拡大術を行うことにより, Fontan手術を回避できる可能性がある。