[III-OR37-03] unbalanced AVSDにおける共通房室弁機能の遠隔期成績の検討
キーワード:unbalanced AVSD, 共通房室弁, 共通房室弁形成
【目的】unbalanced atrioventricular septal defect(uAVSD)において,共通房室弁機能は予後に影響する重要な因子である。当院における手術成績および遠隔期成績を検討した。【対象】1995年から2017年までの間に当院で姑息術を含む単心室手術を施行したuAVSD患者258例を対象とした。このうち,房室弁への外科的介入を要したのは101例(39.1%)であった。【結果】房室弁手術時の年齢の中央値は1.1歳(3か月-15.7歳),体重の中央値は4.1kg(2.4-31.8kg)であった。介入時期は両方向性グレン(BDG)前28例,BDG時49例, BDG後フォンタン(F)前3例,F時20例,F後1例であった。初回房室弁介入時の弁逆流の平均値は2.5±0.9度,術直後1.3±0.7度であった。再弁手術は38例に対し47回行った(人工弁置換16例,20回)。再弁手術回避率は1年89.4%,5年61.2%, 10年57.2%であった。再弁手術の危険因子は,手術時期(BDG前およびBDG時)および術直後の逆流(2度以上)が挙げられた。F到達時の房室弁逆流(弁置換例除く)は1.8±0.8度であった。また房室弁非介入群において,中等度以上の房室弁逆流回避率は1年88.0%,5年82.9%,10年80.0%であった。房室弁介入群の累積生存率は3年82.6%, 5年79.3%, 10年76.4%であり,死亡に関する危険因子は手術時期(BDG前)と術直後の逆流(2度以上)であった。また,房室弁非介入群の累積生存率は3年87.0%,5年87.0%,10年85.0%であり,介入群と比べ良好であった(P<0.01)が,F到達例における遠隔期の血行動態は両群間で有意差はなかった。【結論】uAVSD患者では房室弁への外科的介入率が高く,特に早期に介入を要する症例では弁形成の成績,生存率ともに不良であった。しかしながら,介入群のうちF到達例では非介入群と同等の血行動態が得られた。