第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療遠隔成績

一般口演37(III-OR37)
外科治療遠隔成績

2018年7月7日(土) 13:55 〜 15:00 第4会場 (303)

座長:太田 教隆(神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)
座長:益田 宗孝(横浜市立大学医学部 外科治療学 心臓血管外科 /小児循環器科)

[III-OR37-04] 肺動脈絞扼解除後パッチ形成非施行例の長期遠隔成績

近田 正英1, 宮入 剛1, 小野 裕國1, 北 翔太1, 麻生 健太郎2, 都築 慶光2, 水野 将徳2, 桜井 研三2 (1.聖マリアンナ医科大学病院 心臓血管外科, 2.聖マリアンナ医科大学小児科)

キーワード:肺動脈絞扼術, 肺動脈形成, 長期遠隔成績

(はじめに)肺動脈絞扼解除時に、肺動脈にパッチ形成または絞扼部を切除して端々吻合する方法などが施行されている。我々は、絞扼テープを除去後周囲の癒着組織を充分剥離し、ヘガール拡張器で肺動脈内径が正常径まで拡張できた場合は、肺動脈に特に操作を加えていない。今回その長期遠隔成績を検討したので報告する。(対象と方法)肺動脈絞扼術は、0.4mm厚ゴアテックスパッチで2.5mm幅のテープを作製し、肺動脈の圧を測定しながら周径(体重+20mm)と肺動脈圧が体血圧の3分の1以下を目標にした。ゴアテックステープを使用した絞扼術後8年以上の長期遠隔を追跡できた8例を対象とした。疾患は、ダウン症で高肺血管抵抗のVSDが3例、大動脈縮窄複合が2例、高肺血管抵抗のlarge VSDが1例、multiple VSDが1例、CATCH 22、VSDが1例であった。肺動脈絞扼時の年齢は23日から8ヵ月(中央値1.5ヶ月)で、体重は2.7から5.7(中央値3.1)kgであった。肺動脈絞扼解除時は、ゴアテックステープを除去し、周囲の癒着組織を剥離後へガール拡張器を右房から挿入して正常径まで拡張できればパッチ拡大等の手技を加えなかった。(結果)肺動脈絞扼から解除までの期間は3から10ヶ月(中央値7か月)で、解除時の体重は3.7から8.7kgであった。解除前の絞扼部の圧較差は20から50(中央値37.5)mmHgであった。術後の経過観察期間は8から13年(中央値10年)であった。心臓超音波検査による主肺動脈の流速は0.8から1.3m/secで圧差は2.6から6.8(中央値3.9)mmHgであった。経過観察期間に肺動脈に対する再手術、カテーテル拡張術が施行された症例はなかった。(結語)ゴアテックステープによる肺動脈絞扼術後、1年未満でテープ除去後に肺動脈が正常径まで拡張できた場合は、肺動脈のパッチ形成等の手術手技を加える必要がない可能性が高いと思われた。