[III-OR37-07] Fontan予後改善を目的とした開窓術とDUNK technique応用fenestratiton法の検討
Keywords:フォンタン, フェネストレーション, 開存性
【背景】フォンタン手術ではfenestrationにより心拍出量増加,胸水減少,PLE改善が期待できるが,低酸素,奇異血栓のリスクもある.術式として開窓TCPCグラフトと心房の側々吻合では開存率(75-100%)が高く,TCPCグラフトと心房間のグラフトinterposeで開存(60-74%)は低いがカテーテル閉鎖は容易と報告がある.Fenestrationの長期開存と,その必要性に関連した研究はあるが,その閉鎖機序は明らかではない.当院ではフォンタン循環成立境界症例に対してDUNK techniqueを応用したfenestrationを行っている.リング付き人工血管を心房壁に挿入しpurse-string sutureで固定する方法で,心停止が不要で短時間に施行可能.肥厚した心房壁への縫合が不必要なことから吻合狭窄や急性期閉塞を回避できる方法である.【患者・方法】2002年6月から2017年6月までに連続45例中6例にfenestrationを併施し,うち4例にDUNK techniqueを応用した人工血管を側枝として用いるfenestrated Fontanを行った.5歳以下の43例を対象として,fenestration施行5例をF群,no-fenestration 37例を対照N群として比較検討した. 【結果】手術時年齢,体重に違いなく,術前カテーテル検査でPA Index, Rp,肺動脈圧,主心室EF ,EDPで両群間に有意差なし.手術は全例TCPC(18mmePTFE graft)でfenestrationは5mmPTFE graftで行った.手術室抜管F群: 2例(50%) N群: 16例(43%),挿管時間(h) F群: 0.5±0.3, N群: 6.1±16.6 (p=0.5),ドレーン挿入期間(d) F群: 4.7±0.9, N群: 7.4±7.7 (p=0.5)とF群でいずれも術後急性期の指標は短かった.手術死亡,病院死亡なし. CTもしくはカテーテル検査にて6か月の観察期間中全例で早期閉塞は認めなかった. 【結語】フォンタン循環成立境界症例に開窓術を併施し,Fenestrationを行なった症例の術後急性期は順調に経過した.DUNK法fenestrationの急性期機能は良好で早期閉塞のない方法として有用と思われた.