[III-OR38-01] Glenn手術後Fontan到達が困難であった症例の予後と臨床所見の検討
キーワード:グレン手術, 合併症, 予後
【背景】Glenn(G)手術は一般的にFontan(F)手術の準備段階の手術として施行される。しかし術後にF手術の適応を満たさず、G手術の状態で長期間留め置かざるを得ない症例も一定数存在する。【方法】2016年12月31日現在までに当院にてG手術を施行した患者の経過について後方視的に検討した。G手術後5年間F手術未到達で生存した症例31例を「F到達困難G症例」と定義し、その生命予後を検討した。また、「F到達困難G症例」のうち、現在までにF手術に到達し得た11例と死亡した3例を除く17例を「長期G生存症例」と定義し、その臨床所見と合併症を検討した。【結果】「F到達困難G症例」のF未到達の原因を分類すると、肺静脈閉塞(A群):4例(12.9%)、心室機能不全・房室弁閉鎖不全(B群):8例(25.8%)、肺動脈低形成・肺高血圧症(C群):12例(38.7%)、その他(D群):7例(22.6%)であった。G手術後5年経過時点からの5年生存率は90.4%であり、同5年後F到達率は39.4%であった。現在までのF到達率はA群 0/4、B群 4/8(50%)、C群 1/12(8%)、D群 6/7(86%)と有意差を認めた(p<0.005)。「長期G生存症例」の現状は、年齢:19.2±12.4歳、SpO2:80±7%、NYHA:II 9例(52.9%), III 8例(47.1%)であった。心外合併症は、脳梗塞:3例、喀血:2例、腎障害:5例であった。【結語】F到達困難G症例の5年生存率は比較的高いものの、F到達率は低い。またG手術のまま留め置かれた症例では、低い運動耐容能と心外合併症のため、QOLは不良である。F非到達の原因としては肺動脈低形成・肺高血圧の割合が高く、治療法の発展が望まれる。