第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演38(III-OR38)
術後遠隔期・合併症・発達 3

2018年7月7日(土) 09:40 〜 10:30 第5会場 (304)

座長:武田 紹(JCHO中京病院 小児循環器科)
座長:萩野 生男(千葉県こども病院 心臓血管外科)

[III-OR38-02] 両方向性Glenn手術後,TCPCへ至ることができていない症例の検討

上村 和也1, 田中 敏克1, 瓦野 昌大1, 谷口 由記1, 三木 康暢1, 松岡 道生1, 亀井 直哉1, 小川 禎治1, 富永 健太1, 城戸 佐知子1, 大嶋 義博2 (1.兵庫県立こども病院 循環器内科, 2.兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:両方向性Glenn手術, 術後遠隔期, 予後

【背景】Glenn手術は通常TCPCへ至るための中間手術として行われるが,なかにはTCPCへ到達することができずに経過している症例も存在する.
【目的】Glenn手術後3年以上経過し,TCPCに到達できていない症例の原因等について検討すること
【方法】当院で2001年以降にGlenn手術を施行し,術後3年以上経過しているがTCPCに到達できていない症例について,症例のプロファイル,診断名,死亡率,TCPCに到達できていない理由,血行動態データ,SpO2値,学校生活管理指導表指導区分,予定外入院の頻度,血液生化学検査データについて検討した.Glenn手術後3年以内に死亡した症例は除外した.
【結果】症例は計17例で,疾患は主心室が右心室の症例11例,左心室の症例が5例,その他が1例であった.Glenn手術施行月齢は6か月(3か月-1歳2か月),経過観察期間は68か月(36か月-203か月),現在までの死亡率は17.6%であった.TCPCに到達できていない原因は心疾患11例,非心疾患7例(うち1例重複)で,心疾患の内訳は低心機能および房室弁逆流5例,肺静脈閉塞2例,肺動脈閉塞もしくは狭窄2例,体肺動脈側副血管2例などであった.Glenn手術後に心臓カテーテル検査を施行している15例において,主心室拡張末期圧 8mmHg(3-17),平均肺動脈圧 13mmHg(9-16),PAindex 172.1(85.5-322.7)であった.生存している14例において,低酸素血症で難渋している症例はなく,予定外入院回数は2.5回(0-40)であった.学童は5例で,学校生活管理指導票における指導区分はB1例,C2例,D2例であった.血液生化学検査については,BUN 14.7mg/dL(8.0-24.6),Cre 0.40mg/dL(0.25-0.57),NT-ProBNP 256pg/mL(73-1909)であった.
【結語】Glenn手術後TCPCへ至ることができない原因は低心機能や肺静脈閉塞,肺動脈狭窄があった.当観察期間では低酸素血症の進行やそれに伴う合併症で難渋する症例はなかったが,観察期間が長くなると発症する可能性がある.