[III-OR38-03] 当院のTCPC conversion症例
キーワード:Fontan, conversion, 遠隔予後
【背景】Fontan手術は遠隔期には様々な合併症が生じうる。Atriopulmonary connection(APC)Fontan、Lateral tunnel(LT)Fontanは不整脈の発生率などからもTCPC conversionを行うことが望ましい。当院では、比較的早期からExtra Cardiac Conduitを使用したTCPCを施行してきたため、APC、LT症例は多くはないがconversion症例も経験している。【目的】当院で施行した症例のうち、TCPC conversionを行った症例の背景を検討し、その効果を評価する。【対象と方法】当院でAPCを施行した症例は11例(死亡8例)で、2例はconversion施行、1例はconversion待機中。LT手術は22例(死亡例7例)で、5例はconversion施行。これら該当7症例の経過を検討。【結果】Conversion症例の基礎疾患は三尖弁閉鎖が2例、肺動脈閉鎖、両大血管右室起始、単心室症、右側心房相同、心室中隔欠損が1例ずつ。TCPC conversion時期は初回Fontan手術から5.5~21.4年(M 11.2年)、施行時年齢は12~27歳(M 13歳)。Conversion前後のカテーテル検査結果が得られた5例において、CVPは8~18mmHg(M13mmHg)から7~14mmHg(M 11mmHg)に低下。CIは術前1.76~4.02L/min/m2(M 2.38 L/min/m2)に対して術後2.12~3.87 L/min/m2(M 2.29 L/min/m2)と変化を認めなかった。Conversionの適応は不整脈6例、うっ血肝1例。不整脈適応でconversionした症例のうち、徐脈による適応が2例でPMI併用により術後経過良好であったのに対し、SVTによる適応4例中2例は術後も不整脈がコントロール出来ず、1例にPMI、1例にRFAを施行している。Conversion後の経過観察期間は1.5~17.8年で全例生存している。【考察とまとめ】TCPC conversion 施行後CVPが低下している症例が多く、より良いFontan循環成立に寄与していると思われる。また、これまでの報告通り、不整脈出現後にconversionを施行しても不整脈のコントロールには難渋する症例も見られており、早期にconversionを行うことが望ましい。