[III-OR38-04] TCPC前に臨床的有意な不整脈を認めず、術後遠隔期に院外心肺停止に至った2症例
Keywords:TCPC, 術後遠隔期, 院外心肺停止
【背景】Extracardiac TCPCは従来のフォンタン手術(APC, TCPC-LT)より術後不整脈の合併率が低いが、遠隔期不整脈により致死的な転帰を辿る症例は少なからずいる。術前に臨床的有意な不整脈を認めず、遠隔期に院外心停止に至った2症例を報告する。【症例】症例1は三尖弁閉鎖、単心室、肺動脈狭窄、完全大血管転位の14才男児。BTシャント術、両方向性グレン手術を経て、2才時にTCPC(下大静脈-肺動脈直接吻合)が行われた。TCPC前から接合部調律であった。歩行中にふらつきを訴え立ち止まり、徐々に呼吸困難感が増悪、救急隊到着後に心肺停止に至った。CPR、AEDで心肺再開、AED波形はVF/VTであった。アミオダロン投与でVTが停止した。その後EPSで誘発されたAVRTに対するアブレーションに加え、S-ICD植込みを施行された。症例2は内臓錯位症候群(左側相同)、下大静脈離断、房室中隔欠損、左室低形成、肺動脈狭窄の7才女児。1才時にTCPS、2才時にextracardiac TCPCが行われた。術後徐脈傾向と単発の上室期外収縮が認められるようになった。学校体育中に卒倒し、心肺停止に至った。Bystander CPRが行われ、AED解析は除細動適応外だった。救急隊到着時に心肺再開した。AEDの初期波形は徐脈であった。低体温療法などの集学的管理後に開胸下ICD植込みを施行された。いずれの症例も心肺停止に伴う神経学的後遺症は認められなかった。【考察】フォンタン手術遠隔期不整脈のリスク因子としてAPC法と術後上室性不整脈の出現が挙げられ、また術前の洞調律は遠隔期心臓突然死(SCD)のリスクを下げると言われている。症例1はTCPC前から接合部調律であったこと、症例2はTCPC後に上室期外収縮が出現したことが遠隔期不整脈のリスクに関連した可能性がある。フォンタン手術後患者の注意深い経過観察や不整脈、SCDのリスク評価は重要である。不整脈が出現した場合にデバイス治療を含めた早期介入を考慮する必要がある。