[III-PD06-04] Fontan術後左肺静脈狭窄に対して体外導管穿刺およびステント留置を行った一例
Keywords:肺静脈狭窄, ブロッケンブロー, Fontan
【背景】片側肺静脈狭窄は、喀血や運動耐容能低下を生じ、片肺機能喪失、左右短絡による心負荷、静脈圧上昇を来たしFontan循環に多大な影響を及ぼす。アプローチ困難な心外導管Fontan術後患者でこれまで導管穿刺を行い肺静脈へのステント留置を行った報告はない。【症例】11歳女児、身長129cm、体重25kg。AVSD、Hypo LVのため4歳時に体外導管(Gore-texグラフト 18mm)を用いてFontan手術を施行した。6歳より喀血を繰り返し胸部単純写真で左肺透過性低下、左胸水貯留を認めた。11歳時のカテーテル検査ではCVP=9mmHg、LPAW圧=22mmHg、RPAW圧=3mmHgとLPAW圧が上昇しており、SO2はIVC=62%、LPA=97%、RPA=77%とLPAで上昇しており、Qp/Qs=1.9であった。左肺へは胸郭外や肋間動脈より側副血管が発達し、左肺動脈血流は逆行性に右肺動脈へ流れた。LPAW強制造影で左肺静脈は左房接続部で限局的に1.5mmと高度狭窄していた。外科修復はハイリスクでありステント治療を選択した。手技は全身麻酔下、経食道心エコーガイドで行った。8 Fr long sheath(ShwartzTM)とBRKTM-1で導管を穿刺、CoyoteTMNC 4mmで拡張後long sheathを左房内に挿入した。6F sheath(MedikitTM)を左肺静脈開口部へ位置し、左肺静脈へガイドワイヤーを挿入し、SterlingTM 3mmで前拡張後、ステントExpressTMSD 6mmx17mmを留置し、左肺静脈血流は回復が見られた。術後左肺血流維持のためDOACおよびボセンタンを導入した。【考察】人工血管導管への穿刺は時間と技術を要するが、経食道心エコーでガイドすることで、導管だけでなく肺静脈も描出することができ、安全かつ効果的に治療を行える可能性が示唆された。