[III-PD07-04] Fontan手術後に挙児希望をされているが、低酸素血症が持続している1症例
Keywords:妊娠, 成人先天性心疾患, 低酸素血症
症例は30歳女性。出生時にチアノーゼを認め、両大血管右室起始、僧帽弁閉鎖、低形成左室、肺動脈弁狭窄、下大静脈欠損、多脾症候群と診断され、9歳の時にfenestrated lateral tunnel Fontanを施行された。以後、当院と近医で経過観察されていたが徐々に酸素飽和度が低下し、17歳の時に心臓カテーテル検査を含めた精査を行ったところ、左肺に優位の肺動静脈瘻(AVM)を認め、こちらが低酸素血症の原因と考えられた。25歳の時に結婚され、挙児希望があるも安静時SpO2 70%後半、労作時SpO2 60%台と低酸素血症を認めたため妊娠、出産は困難と判断された。ただご本人の挙児希望の意志も強く、低酸素血症の原因を再精査したところ左肺のAVMの増大を認め、心臓カテーテル検査中に施行した左肺動脈からのバブルコントラストエコーでも左心系への流入を認め、また肺機能には問題を認めなかったので、やはり左肺内のAVMが原因と考えられた。PAVMの原因としては肝静脈血流の左右肺への不均衡が原因と考えられ、27歳の時にY-graftを用いたextracardiac Fontan conversionを施行された。しかし、その後もSpO2 70%後半~80%前半の低酸素血症を認め、また左肺のAVMも乏しく、妊娠を許可する状況には至っていない。本検討ではその後の経過と含めて報告し、エキスパートの先生方からのご意見を拝聴したいと思っております。