[III-PDT-03] 移行支援プログラムにおける病院薬剤師の関わり
Keywords:移行期, 移行支援, 薬剤師
福岡市立こども病院では2015年、成人先天性心疾患患者に対する成人期移行支援を目的として、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー等の多職種からなる移行支援チームが発足した。移行支援プログラムの教育内容として、自立した医療行動、健康なライフスタイル、性的健康、医療に関する経済的な自立の4項目が挙げられ、それぞれの職種から専門性を生かした支援内容が提案された。薬剤師は自立した医療行動の点から、自分の服用している薬剤について知ってもらうため、循環器治療薬を系統別に名称や作用、注意点を平易な言葉で記した資料を作成した。また院外処方せん発行率が90%を超えていることを考慮し、調剤薬局での薬剤の受け取り方やお薬手帳の活用方法についても説明することとした。2015年10月から移行支援プログラムが開始され、2018年3月までに234名(11歳~26歳 平均16歳)が対象となった。このうち151名が何らかの薬剤を服用していたが、自分の服用している薬剤を知らない患者が21名、用法を答えられない患者が6名いた。また、服用している薬剤が後発医薬品に変わり薬剤名が長くなったため、薬剤名が分からなくなったケースも見られた。複数の医療機関でフォローされている場合、同じ成分の医薬品でも異なる名称の薬剤を処方されていることもあるため、お薬手帳や資料に同じ成分の薬剤であることを記載して注意を促している。移行支援の対象となる患者には思春期以降の女性も多く、薬剤の催奇形性や胎児毒性に関する質問もあり、薬剤の胎児への影響についての情報提供も必要と考えられるが、患者の自己判断による断薬につながらないように注意が必要である。保護者の管理下にあった患者が自立することによって、アドヒアランスが低下しないように院内のスタッフや調剤薬局とも連携をとりながら、適切な情報提供を行い今後も支援していきたい。