[III-S12-01] 小児拡張型心筋症に対する自家心臓内幹細胞移植第一相試験
キーワード:拡張型心筋症, 再生医療, カテーテル治療
【背景】 当院ではこれまで、心機能回復を目的として、機能的単心室患者41例に自家心臓内幹細胞移植を行った。 2017年5月から対象を拡大し、拡張型心筋症と診断された18歳未満の小児に対し、自家心臓内幹細胞移植の第1相試験を開始した。 これまで開心術により心筋組織を採取していたが、本研究ではバイオトームにより右室心筋を採取し、細胞培養を行い、後日経皮的・経カテーテル的に培養細胞を冠動脈注入するプロトコールとなり、全ての行程をカテーテルで行うこととなった。18歳未満、LVEFが40%未満の患者が対象となり、これまで3例に移植を行ったが、その1例につき報告する。 【症例】15歳女児、14歳時から息切れを自覚、喘息治療を行ったが改善なく、心拡大、肺水腫、BNP上昇を認め前医入院。 拡張型心筋症と診断。 治験参加のため当院紹介。 心エコーではBiplane m-Simpson法にてLVEF37.5%、解剖学的異常を認めず。 心臓MRIではLVEDV135ml、LVEDVI 106、LVEF24%、遅延造影にて心基部から心室中部を主体に中隔壁の右室側に異常造影効果あり。 細胞移植の2カ月前に行ったカテーテル検査ではLVEDP 7mmHg、LVGにてLVEF 45%。 右内頸静脈アプローチで右室心筋生検を試みたが、上室性不整脈が多発したため、右鼠径アプローチに変更、6ブロックの組織を採取し、一部は病理に、残りを細胞培養した。 心筋病理では心筋線維の高度肥大や核の腫大、核型不整など拡張型心筋症に矛盾しない所見であった。 培養細胞が所定の個数に到達したため、細胞移植を行った。【手技】3.5×105個の幹細胞を左冠動脈に2/3、右冠動脈に1/3に分けて注入する。 5F guiding catheter(Launcher)を冠動脈近傍に固定し、0.014inchマイクロカテーテル(プローラー)を標箇所に到達させる。一回の注入に2分30秒から5分30秒かけ、緩徐に幹細胞を冠動脈注入する。