第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム13(III-S13)
小児期(青年期を除く)の人工弁置換

2018年7月7日(土) 08:30 〜 10:00 第2会場 (301)

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:山岸 正明(京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

[III-S13-03] 単心室症における房室弁人工弁置換術の外科治療成績

小田 晋一郎, 中野 俊秀, 藤田 智, 藤本 智子, 阪口 修平, 岡本 卓也, 満尾 博, 竹本 捷, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:単心室症, 房室弁閉鎖不全症, 人工弁置換術

【目的】単心室症における房室弁人工弁置換術の外科治療成績について検討した.【方法】1991年から2017年までに施行した30例を対象とし, 死亡率と合併症について後方視的に検討した. また, cox比例ハザードモデルにて死亡の危険因子を解析した.【結果】右室性単心室 27例(90%)(左心低形成症候群4例(13%)), 左室性単心室3例(10%), Heterotaxy症候群15例(50%). 弁形態は共通房室弁 23例(77%), 三尖弁 7例(23%). 手術時年齢中央値(最小-最大) 7.9歳(2ヶ月-20歳), 体重中央値 8.4 (2.5-55.6) kg. 手術時期は, グレン手術前 6例(20%), グレン手術時 7例(23%), グレン手術後フォンタン手術前 10例(33%), フォンタン手術時 1例(3%), フォンタン手術後 6例(20%). 術前房室弁閉鎖不全はmoderate 21例(70%), severe 9例(30%). 全例に房室弁形成の既往を認めた. 術前に強心剤使用など心不全症状を認めたものが 15例(50%). 人工弁サイズは16-31mmを使用し, 最多は21mmの9例(30%). 死亡は16例(53%). 死亡原因は, 心機能不全 9例(56%), 不整脈 3例(19%), フォンタン循環不全 2例(13%), 敗血症 1例(6%), stuck valve 1例(6%). 6ヶ月, 1年, 5年, 10年累積生存率は66%, 59%, 52%, 48%であった. 再弁置換を6例に認め, 1年, 5年, 10年再弁置換回避率は94%, 74%, 66%であった. 術後合併症は, 不整脈15例(50%), stuck valve 9例(30%), 術後ペースメーカー植え込み 6例(20%), 出血 5例(17%), 蛋白漏出性胃腸症 2例(7%), 肺梗塞1例(3%)であった. 多変量解析による死亡の危険因子は, 術前心不全(p=0.009), 右室性単心室(p=0.011)であった.【結語】房室弁人工弁置換術を必要とした単心室症の予後は不良であった. 高度房室弁閉鎖不全を伴う単心室症に対しては, 心不全防止のための弁形成術のさらなる改善や, 形成不能例に対する人工弁置換のタイミングなどの再考が必要と考えられた.