The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム13(III-S13)
小児期(青年期を除く)の人工弁置換

Sat. Jul 7, 2018 8:30 AM - 10:00 AM 第2会場 (301)

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院 心臓血管外科)
座長:山岸 正明(京都府立医科大学 小児心臓血管外科)

[III-S13-04] 小児期左心系人工弁置換術例の遠隔予後の検討

櫻井 一1, 野中 利通1, 櫻井 寛久1, 杉浦 純也1, 大沢 拓哉1, 和田 侑星1, 大橋 直樹2, 西川 浩2, 吉田 修一朗2, 加藤 温子2, 大森 大輔2 (1.中京病院 心臓血管外科, 2.中京病院 小児循環器科)

Keywords:人工弁置換, 小児, 遠隔予後

【目的】小児の人工弁置換術では,成長,サイズのミスマッチ,長い余命など小児特有の問題点がある.これらの観点から自験例で遠隔予後を検討した.【方法】1994年以後現在までの約23年間に15歳以下で初回のAVR (A群)またはMVR (M群)を行った2心室性疾患について検討した.A群は17例に17回,M群は23例に35回弁置換術を行っていた.【結果】A群では,元疾患は先天性AS/ARが12例,そのほかTrA,Marfan,Ross後,Jatene後などだった.初回AVRは,10.1±4.0歳(8ヵ月~15歳),体重33.6±14.0kg (6.0~63 kg)で施行した.弁種は前半9例が全例CMを使用し,後半8例はATS 4例,OnX 2例,SJM regent 2例だった.使用サイズは16~25 (中央値21)だった.手術死亡,遠隔死亡例はなく,平均観察期間は9.9±8.0年,1例で9年後stuck valveにて19歳時にRoss手術を行った.M群では,元疾患は先天性MS/MRが9例,AVSDが9例,そのほかIE,Marfanなどだった.初回MVRは,3.4±4.3歳(2ヵ月~12歳),体重12.3±10.8kg (3.1~39 kg)で施行した.弁種は前半は全サイズでCMを使用し,後半は基本はSJMで,狭小サイズをATSで行い,結果的にCM 15回, SJM 15回,ATS 4回,OnX 1回だった.サイズは16~31 (中央値23)だった.11例に再MVR (相対的MS 8例,stuck 3例)を,8.8±5.0年後に要し,さらに1例でIEのため再々MVRを要した.再MVR後1例がSVT発作で手術死亡し,2例が再MVR後1.3, 5.6年で遠隔死 (PH,呼吸不全)した.再MVR前の僧帽弁流入速度は2.70±0.48 m/sで,体重比は2.2~7.3倍 (中央値3.2)だった.【結論】AVRでは,小児でも初回から成長を考慮した十分なサイズの人工弁を選択することで多くの例で再手術は回避可能で,遠隔成績も良好だった.乳児期のMVR例では成長に伴い再手術は避けがたいが,人工弁の性能向上もあり再々手術はおおむね回避できていた.左室流入速度が2.5 m/sを超え,体重が3倍程度になった頃が再手術の時期と思われた.