[III-S13-05] 小児期弁置換症例の問題から考える管理上の注意点~長期予後改善へ向けて~
Keywords:機械弁, 弁置換, 自己心膜弁
【はじめに】小児における弁置換は最終手段とも考えられているが,一方で心機能の温存から長期予後改善に繋がる側面もある.【目的】弁置換後の管理改善により適応の拡大を図ることを可能にすべく,現状の問題点を明らかにすること.【対象・方法】15歳以下で肺動脈弁を除く弁置換術を行った24例(32回).A群:大動脈弁14,M群:体心室弁9(含単心室3),T群:三尖弁1.初回置換年齢,使用弁,再置換,死亡,合併症,問題点につき後方視的に調査した.【結果】●初回置換(歳):A群;0.6-15(12),M群;0.6-12(5),T群6.●初回使用弁:A群;機械弁(Mc)9,生体弁(B)2,自己心膜弁(OP)3.M,T群;全例Mc弁.●再置換:A群;Mc弁5例6回,B弁2回,OP弁0回,M群;2回,T群1回.●再置換適応/時期:A群Mc弁;血栓弁2(0.3-0.7年),相対的狭小3(7-11年),血管炎1(2年).B弁;石灰化2(4-10年). M,T群パンヌス3(3,13,9年). ●死亡:血管炎1,心不全3,弁置換に関連なし.●出血:A群Mc弁;硬膜下血腫1(1歳),M群;鼻出血(輸血要)反復1(2-5歳).●血栓症:A群Mc弁;血栓弁反復1(0-1歳),怠薬によるTIA1(16歳).●問題点:OP弁;比較的早期に1葉動き不良(VSD術後/polyvalv. disease).M群;CRT導入後例で置換術後に非同期を再発.A,M群の各1例;幼児期に弁機能不全も再置換の壁が高く,待機中に状態悪化を反復.【考察】乳幼児期;弁位にかかわらず抗凝固関連合併症,弁機能不全とも多く未だ適応の問題は大きい.学童以降は概ね良好;成人と比しても抗凝固関連合併症は少なく比較的安全に管理できていたが,怠薬に注意を要する.OP弁は中高年での成績は良好で学童への拡大も期待されるが,他の心奇形が絡む症例における弁葉運動の障害は左室流出路形態異常の影響を示唆しており,小児では多様なCHD例が対象になり得ることから注意を要する.CRT症例では弁輪伸縮性の喪失,心基部の運動障害が影響していると考えられCRTのredoも検討中であり,弁置換に伴う新たな問題と考えられる.