[III-S13-07] 小児期人工弁置換術後における抗血栓療法と人工弁外来の有用性
Keywords:人工弁, ワーファリン, TTR
【背景】小児における人工弁置換術後においては厳密な抗凝固療法が必要である。特に幼少期におけるワーファリンによる抗血栓療法は微妙なさじ加減が必要となる。当院では「小児人工弁外来」の形で一括して心臓外科医が外来治療、管理を行っている。【目的】当院における小児期人工弁置換術後の外来管理と成績について報告する。【対象】小児期に弁置換術を行った24例のうち「人工弁外来」にて治療を行っている17例を対象とした。初回人工弁置換時平均年齢6.0±5.1歳(4m~16y)。内訳は大動脈弁置換術(AVR)が7例、僧帽弁置換術(MVR)7例が、AVR+MVRが1例、三尖弁置換術(TVR)2例(うち1例はccTGA)。全例機械弁を使用している。【管理方法】抗血栓療法は基本的にワーファリン単剤で1~2ヶ月毎の採血でPT-INR目標値はAVRは1.5~2.3、MVRは1.7~2.5程度、右心系のTVR症例は2.0~2.5程度としているが低年齢ではやや弱め、年長者はやや強めとしている。ワーファリン量を増減した場合には2~4週間後に再検をする。ワーファリン手帳を渡して毎回記入することで患者(母親)にもワーファリンの管理が見えやすくしている。抗血栓療法の指標としてPT-INRのTTR(Time in Therapeutic Range)を12ヶ月ごとに算出することで管理の評価を行っている。【結果】17例中2例に血栓弁を発症した。1例は留学中、1例は就職後にワーファリンの内服が不規則となり血栓弁に対して再手術を行った。乳児期のMVR1例でStuck Valveとなり再手術を行った。直近12回のTTR(Time in Therapeutic Range)は平均73.1±15.5%とまずまずであったが50%以下のコントロール不良例が2例ありいずれも内服自己管理に移行する年齢の症例であった。出血性のイベントはなく経過観察中の死亡例なし。【考察】小児人工弁患者における抗血栓療法は非常に重要であり人工弁管理に慣れている心臓血管外科医による「小児人工弁外来」は有用である。