[III-S14-04] 先天性心疾患に対する心保護薬の危険性
キーワード:心不全, 心保護薬, 副作用
先天性心疾患(CHD)の多くが外科手術やカテーテルインターベンションの進歩などにより長期生存可能となってきた一方で、術後の合併症や続発症に対する治療、特に心不全(広義の循環不全症候群)に関する管理の重要性が増している。多くの術後CHD症例が心不全ステージB以上であることから、予後改善を目的としてしばしば薬物治療の導入を検討される。予後改善薬の代表としてベータ遮断薬とレニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン(RAA)系抑制薬が挙げられる。しかしながら、いずれの薬剤においても術後CHD症例の心不全に対する有効性、特に肺循環右室不全、体循環右室不全、フォンタン術後の症例に対する有効性に関して強い根拠を示した報告は現在のところない。勿論これらの薬剤にも様々な副作用は報告されており有効性の根拠がない状況では安易な投与はためらわれる。使用にあたっては熟慮と慎重な経過観察が求められる。当院で経験したこれらの薬剤に起因すると考えられるトラブルを報告する。