The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演(多領域専門職部門)

家族支援

一般口演(多領域専門職部門)05(III-TR05)
家族支援

Sat. Jul 7, 2018 8:30 AM - 9:00 AM 第6会場 (411+412)

座長:笹川 みちる(国立循環器病研究センター 看護部)
座長:手塚 園江(自治医科大学 看護学部)

[III-TR05-01] 拡張型心筋症患児の退院に向けての介入~両親の心理的援助を中心に~

加藤 由季野1, 小杉 麻里子1, 畑中 裕美1, 平田 紗也1, 工藤 和子1, 橋本 美亜2 (1.弘前大学医学部附属病院, 2.弘前大学大学院 保健学研究科)

Keywords:拡張型心筋症, 心理的援助, 退院支援

【背景】拡張型心筋症の根本的な治療方法は心臓移植であり、移植を視野に入れ治療を継続したまま退院となる。今回、生後5か月で拡張型心筋症を発症し内科的治療により心不全がコントロールされている患児の両親に対して、退院に向けての心理的援助を中心とした看護介入を行った。【目的】退院に不安を抱えた拡張型心筋症患児の両親への心理的援助を中心とした看護介入について検討し、質の高い個別性のある看護介入の示唆を得ること。【方法】拡張型心筋症患児の両親の退院に対する思いと、両親への看護介入の内容を看護記録から後方視的に収集した。また、退院後の外来受診時と家庭訪問でのインタビューから得られたデータをもとに、両親への心理的援助について分析した。患者家族の許可を得て、個人が特定されないように配慮した。【結果】生後9か月で母児同室となるが、発熱や啼泣によるVT誘発があり、退院に対する両親の不安が強かった。看護師は両親の思いを傾聴し、パンフレットを使用した心不全の指導、急変時のためのBLSなどの指導を行った。両親は外出・外泊を繰り返すことで徐々に自信がつき1歳10か月で退院した。両親から後ろ向きな言動が見られた時には気持ちに寄り添い、受容的な態度で接することで不安の内容を具体的に引き出すことができたと考えられる。さらに、不安に対し具体的な解決策を一緒に考えることで前向きな言動が見られるようになった。【結果・結論】退院に向けて一方的な指導を行うのではなく、両親から前向きな言動が見られたタイミングで指導を行うことで両親の自己効力感を高めることができたと考えられる。拡張型心筋症患児の両親の退院に向けた介入として、気持ちに寄り添うこと、不安を一つずつ解消する事、両親が退院に対して前向きな気持ちになったタイミングで指導を行うことが重要であるという示唆を得ることができた。