第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

移行期支援

一般口演(多領域専門職部門)06(III-TR06)
移行期支援

2018年7月7日(土) 09:10 〜 10:00 第6会場 (411+412)

座長:青木 雅子(東京女子医科大学 看護学部)
座長:栗田 直央子(静岡県立こども病院 看護部)

[III-TR06-02] フォンタン術後の成人女性への疾患理解にむけての支援

森貞 敦子1, 荻野 佳代2, 林 知宏2, 脇 研自2, 新垣 義夫2 (1.倉敷中央病院 看護部, 2.倉敷中央病院 小児科)

キーワード:成人先天性心疾患, フォンタン術後, 疾患指導

【背景】今回、2名のフォンタン術後の成人女性における疾患理解への支援を行った。成人期からのかかわりで、いくつかの課題が明らかになったため報告する。
【目的】フォンタン術後の成人女性に行った疾患理解にむけての看護を振り返り、今後の看護の示唆を得る
【方法】調査期間:2015年4月~2017年12月
調査対象:フォンタン術後の成人女性患者2名
調査内容:患者の概要、疾患理解に向けての看護師を中心とした医療者のかかわり、患者・家族の反応を電子カルテから抽出し、分析を行った。
倫理的配慮:患者のデータは全て記号化し、個人情報の取り扱いに留意した。
【結果】事例:A氏:20代、未婚。不定期の受診が続き、介入を開始した。A氏は自分の疾患のことを十分に理解しておらず、疾患の説明や検査の説明にも最初は関心を示さなかった。しかし、治療選択が必要となり、A氏の意思を確認することで、自分がどうありたいかを表出するようになり外科的手術を選択した。以後の経過は良好であり、現在は定期的に受診も行っている。事例:B氏:20代、既婚。結婚後、挙児希望にて主治医に相談があり、介入を開始した。経過がよく、疾患の生活への影響も少なかったため、B氏は自分の疾患をほとんど理解していなかった。夫もB氏が心疾患であることしか知らなかった。B氏は自らの病態を知ることでの精神的衝撃が大きく、キーパーソンである夫を巻き込みながら段階的に説明を行った。
【考察】今回の患者はフォンタン術後であったが、2名とも経過良好のため医療者のかかわりは希薄であったと考える。本人の病識も薄く、疾患の認識はあるものの、正確な知識及びセルフケアの獲得が十分ではなかった。指導を行うことで自ら生活調整は行えるようになったが、成人期からの指導による本人の精神的負担は大きかった。
【結論】患者の状態にかかわらず、小児期からの患者本人への指導の必要性が示唆された。