The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

会長要望演題

会長要望演題06(III-YB06)
Bench-to-Bedside in Pediatric Cardiology

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 1:50 PM 第2会場 (301)

座長:栄徳 隆裕(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学 循環器グループ)
座長:前田 潤(慶應義塾大学医学部 小児科)

[III-YB06-01] 新しいブタ拡張型心筋症モデルの開発と心臓内幹細胞治療の効果検証 ~大型動物実験からヒト第1相臨床試験へ~

平井 健太1, 大月 審一1, 馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 栗田 佳彦1, 福嶋 遥佑1, 重光 祐輔1, 原 真祐子1, 後藤 拓弥2, 逢坂 大樹2, 王 英正3 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学病院 心臓血管外科, 3.岡山大学病院 新医療研究開発センター 再生医療部)

Keywords:拡張型心筋症, 細胞治療, 再生医療

【緒言】当院では単心室症に対する心臓内幹細胞(CDCs)治療の第1/2相臨床研究を合計48症例に対して行い、その安全性や治療効果を確認してきた。一方、拡張型心筋症(DCM)に対するCDCsの治療効果は不明であり、かつ治療評価が可能な大型動物のDCMモデルはこれまで報告されていない。【目的】びまん性冠動脈微小塞栓による新規ブタDCMモデルを開発し、CDCsの治療評価を行う。【方法】家畜ブタ(30kg)に対し、微小塞栓物質であるエンボスフィア(100-300μm)1.0×104個を冠動脈3枝に分けて投与し、DCMモデルを作成した。モデル作成から2週間後に、細胞治療としてCDCs(9.0×106個)またはplaceboを冠動脈3枝に分けて投与し、治療から4週間後に効果判定を行った。【結果】13頭のうち10頭(77%)でDCMモデル作成に成功した(EF 38.2%±3.3%)。上記10頭をCDCs群(n=5)、placebo群(n=5)に振り分け、細胞治療を行った。治療に伴う有害事象は全例で認めず、placebo群のEFは変化なかったが(治療前:38.4%±3.8%、治療後:37.5%±2.2%、P=0.65)、CDCs群のEFは有意に改善した(治療前:38.0%±3.1%、治療後:43.5%±2.5%、P=0.017)。心筋病理切片のピクロシリウスレッド染色では、CDCs群で心筋線維化領域の有意な縮小を認めた(CDCs群:9.6%±4.2%、placebo群:18.2%±4.1%、P<0.01)。また、CDCs群において、細胞周期関連タンパクであるKi67陽性心筋細胞の増加(CDCs群:46.9±6.0個/106心筋細胞、27.2±3.6個/106心筋細胞、P<0.01)、毛細血管密度の増加(CDCs群:876.0±251.2/mm2、placebo群:644.6±131.5/mm2、P<0.01)を認め、CDCs治療により新規心筋細胞の増加や血管新生が促されることが示唆された。【結語】新規ブタDCMモデルを確立し、CDCsの安全性と治療効果を確認した。この結果を元に、当院では小児DCMに対するCDCs治療の第1相臨床研究(TICAP-DCM試験:NCT03129568 )を登録実施中である。