[III-YB06-03] 心筋緻密化障害における遺伝子・表現型相関
Keywords:心筋緻密化障害, 遺伝子変異, 心不全
【目的】心筋緻密化障害は、多彩な症状を呈する小児期に発症することが多い多様な遺伝形式を有する心筋症であるが、その臨床像と遺伝子変異、予後についてはまだまだ不明の部分が多い。【方法】対象は18歳以下の心筋緻密化障害患者とした。心筋緻密化障害患者を以下の4群に分類した:心機能が正常で左室径の拡大を認めない群(正常群)、先天性心疾患を伴う群(CHD群)、不整脈を伴う群(不整脈群)、心機能が低下し左室径の拡大を認める群(DCM群)。4群における予後および臨床的な特徴と遺伝子変異の頻度とその相関について検討を行った。【成績】対象患者は203名(男子116名、女子87名)で、診断時年齢は中央値で4ヶ月であった。心室頻拍は17例(8.4%)であり、不整脈群にて6例(15.0%)、DCM群にて6例(7.0%)、CHD群にて5例(12.5%)であった。死亡例および心臓移植例は31例(15.3%)であり、DCM群にて21例(28%)、不整脈群にて4例(10%)、CHD群にて3例(7.5%)であり、生存時間分析においても、DCM群の予後は不良であった(p<0.05)。死亡および心臓移植に対しては、左室駆出率が45%以下(オッズ比25.84、p<0.05)、および左室拡張期末期径のZ値が4.77以上(オッズ比6.16、p<0.05)が予後不良因子であった。遺伝子変異は145例中71例(49.0%)に見いだされ、正常群にて10例(38.5%)、CHD群20例(66.7%)、不整脈群8例(36.4%)、DCM群33例(49.3%)であった。遺伝子別ではMYH7変異が25例(17.2%)、TAZ変異が9例(6.2%)見いだされ、TAZ変異を有する症例は予後が不良であった。MYH7変異はCHD群とDCM群に、TAZ変異はDCM群に多く見られた。さらに、二遺伝子変異が見いだされた症例では予後が不良であった。【結論】表現型別に臨床症状・所見および予後に特徴が見られた。心筋緻密化障害の表現型と遺伝子変異を組み合わせることで予後がより明らかとなり、診療や治療介入に有用と思われた。