The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

会長要望演題

会長要望演題06(III-YB06)
Bench-to-Bedside in Pediatric Cardiology

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 1:50 PM 第2会場 (301)

座長:栄徳 隆裕(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学 循環器グループ)
座長:前田 潤(慶應義塾大学医学部 小児科)

[III-YB06-05] 再生型人工血管バイオチューブの小児外科への応用をめざして:小口径動脈バイパスの可能性

中山 泰秀, 古越 真耶, 巽 英介 (国立循環器病研究センター研究所 人工臓器部)

Keywords:再生医療, 小口径人工血管, 動脈バイパス

【目的】我々が提唱する新組織工学技術である生体内組織形成術(IBTA)を用いると、鋳型を皮下に2ヶ月程埋込むだけで、自己結合組織からなる自家移植用組織管(バイオチューブ)を作製することができ、昨年度に口径、長さ、厚さ、形状などバイオチューブの設計の多様性について、さらに、幼犬への代用動脈として移植後に成長性を有することを報告した。本研究では、バイオチューブを初めて動脈バイパスとして動物に移植し、その生体内での機能性を調べた。
【方法と結果】円柱状あるいは渦巻状の鋳型を2ヶ月間ビーグル犬の皮下に埋め込むことで、内径3-4mm長さ7-10cm璧厚さ約1mmのバイオチューブを作製し、アルコール中で保存した。これを生理食塩水で洗浄した後に他のビーグル犬の頚動脈(内径4mm)に連続縫合で端側吻合することで動脈バイパスを作製した。縫合部からの出血は僅かで、生体血管との密着性は良好であった。術後1週間低分子ヘパリン、1ヶ月間抗血小板薬を投与した。バイオチューブは動脈圧に耐え、術後から血栓形成や狭窄、瘤化などの血管異常を認めなかった。エコー観察による拍動流は良好で、生体血管とバイオチューブ内の血流量はほぼ等量が維持された。1ヶ月後の血管造影撮影で血管変形無く、生体血管、バイオチューブとも開存を認めた。現在観察を継続すると共に組織観察による生着性の評価を行っている。
【結語】バイオチューブは透析用シャント血管の狭窄部位のバイパス血管として臨床で既に使用され、低圧高流量系では年単位で開存性が得られている。本研究で初めて動脈バイパスとしての可能性を得ることができた。今後観察期間の延長とともに例数を増やし、開存性が高く成長性が期待できる小口径人工血管として信頼性の獲得をめざし、小児循環器外科の治療の幅を広げることにつなげたい。