[P01-02] 初診時からのFlail tricuspid valveで集中治療を要した新生児乳児2例
キーワード:flail tricuspid valve , 三尖弁逆流, 新生児
【背景】新生児の生理的肺高血圧に伴う機能性三尖弁逆流(TR)は比較的多いが、三尖弁下組織の破壊により発症するflail tricuspid valveが発症する事は稀である。【症例1】在胎40週近医産科で出生の新生児。生直後から重度チアノーゼのため生後2時間で当院NICU搬送。初診時SpO2:65-70%、心エコーで三尖弁前尖に付着した高輝度の構造物が収縮期に右房側へ翻転しており重度逆流を呈していた。動脈管は既に閉鎖、心房間交通は右左短絡であった。前乳頭筋断裂による重症TRと動脈管早期収縮に伴う新生児遷延性肺高血圧と診断して人工呼吸器NO吸入、強心薬投与を開始。徐々に肺高血圧及び酸素化の改善が得られ日齢9に抜管。TRは中等度以上残存したが経口肺血管拡張薬を導入して日齢28退院。【症例2】生後1か月男児。痙攣、ショックにて前医救急外来受診。SpO2:73%で心拡大著明であり心疾患疑いで当院ICU搬送。心エコーで下心臓型総肺静脈還流異常症と診断したが、右室自由壁から異常起始する前乳頭筋が高輝度でこれに連なる腱索断裂により高度TRを呈していた。肺静脈閉塞所見はないためNO吸入とアドレナリン投与でバイタル安定をえて翌日心内修復術施行。三尖弁前乳頭筋及び腱索は白色壊死しており前尖と中隔尖をedge to edgeで形成した。術後も肺高血圧と心肥大及びTR残存で管理に難渋したが14日目に抜管。経口肺血管拡張薬を導入して中等度TR残存の状態で35日目退院。【考案】胎児期及び新生児期の右心負荷に伴う心筋虚血から右室前乳頭筋及び腱索の断裂をきたしてFlail tricuspid valveを呈したと推測される。比較的順調に改善が得られた症例1と比較して、症例2では術後の回復が典型例よりも時間を要しており診断前の肺高血圧状態にさらされている時間が影響しているかもしれない。【結語】胎児期及び新生児期の右室負荷を呈する疾患では心筋虚血に伴うと推定される三尖弁下組織断裂による重度TRを呈することがある。