[P01-05] 当院におけるRoss/Ross-Konno 術後患者の妊娠・出産 3症例の経験
キーワード:Ross-Konno, 妊娠, 出産
【背景】挙児希望のある若年女性の大動脈弁疾患に対し、Ross手術,Ross-Konno(R-K)手術は術後の抗凝固療法を要しない有力な治療法である。一方で、術後女性の周産期の経過と管理については、更なる経験の集約が求められている。【目的/方法】当院にてRoss手術/R-K手術を施行し、妊娠出産の管理を行った3症例について後方視的に検討し、その血行動態の変化と周産期管理における問題点を明らかにする。【結果】症例1:先天性大動脈弁狭窄(cAS)に対し、24歳時にRoss手術施行(右室流出路はGore-Tex valve)術後3年後に妊娠満期で経腟分娩にて出産。術後15年後の現在も循環動態は安定しており、外来経過観察中。症例2:c AS、大動脈縮窄症に対し、他院にて9歳時に大動脈弓形成術、25歳時に大動脈弁人工弁置換術施行。その後ASが残存し26歳時にR-K手術施行(右室流出路はGore-Tex valve)。術後5年後に妊娠満期にて予定帝王切開術で出産。術後15年より三尖弁逆流を伴う右心不全を認め、精査加療中。症例3:cASに対し、17歳時にR-K手術施行(右室流出路はHomograft)。術後17年後に満期で経腟分娩にて出産。妊娠前期より圧較差45mmHgの肺動脈弁狭窄を認めていたが、出産直前には80mmHgまで増悪。大動脈弁狭窄(圧較差35mmHg)も周産期に55mmHgに増悪した。分娩後はそれぞれ65mmHg、45mmHgへと低下した。【考察】胎児:3症例ともに満期出生で適正体重の新生児を得た。安定した血行動態のもと十分な胎盤血流を維持していた為と考える。妊娠経過中、抗凝固薬などの投薬を回避することが出来、新生児に明らかな異常は認めなかった。母体:術後3-5年で妊娠出産を行った症例1,2では周産期の血行動態の変動はわずかであった。症例3の血行動態の変化は右室流出路形成術式の違いと経時変化が一因と考えられた。【結論】Ross手術/R-K手術後、比較的安定した血行動態で周産期管理を行い、良好な胎児発育を得ることが出来た。