The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

内科系 その他

ポスターセッション02(P02)
内科系 その他

Thu. Jul 5, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:橋本 郁夫(富山市民病院)

[P02-03] 外科的結紮術を施行した静脈管開存症の1例

安孫子 雅之1, 佐藤 誠1, 小田切 徹州1, 五味 聖吾2 (1.山形大学 医学部 小児科, 2.山形大学 医学部 第2外科)

Keywords:静脈管開存症, 門脈体循環シャント, 静脈管結紮術

【背景】静脈管開存症は、生後まもなく臍静脈血流の遮断に伴い閉鎖するはずの静脈管が何らかの原因により開存し続けたために、門脈血が直接下大静脈へ流入する門脈体循環シャントの一つである。高アンモニア血症や精神発達遅滞、肝肺症候群、肝腫瘍等を合併する例では静脈管閉鎖を考慮する必要があるが、介入の適応や方法について一定の見解はない。【症例】3歳女児。胎児水腫のため在胎34週4日に緊急帝王切開で出生し、二次性RDSの診断で人工呼吸管理を行った。生後3か月まで胆汁うっ滞所見が遷延し、腹部エコーおよび腹部造影CTで最大径10mmの静脈管を認め、静脈管開存による門脈体循環シャントと診断した。自然退縮に期待し経過観察したが、感染や便秘に伴う高アンモニア血症の増悪とそれに伴う傾眠傾向を反復し、静脈管閉鎖の適応検討のため静脈管バルーン閉塞試験、腹部血管造影検査を施行した。肝内門脈は低形成ながら確認され、静脈管バルーン閉塞試験で測定した門脈圧は18-20mmHgであり静脈管閉鎖は可能と判断した。Vascular plugやcoilを用いたカテーテル治療、外科的な静脈管絞扼術や静脈管結紮術を検討したが、静脈管に左方から還流する静脈が2本確認され、同血管の温存の必要性も考慮し外科的結紮術を選択した。術中の静脈管閉塞試験では門脈圧16-18mmHg、左方から静脈管に還流する静脈は左胃静脈と同定され、左胃静脈流入部より下大静脈側で静脈管結紮術を施行した。術後経過は良好で術後8日目に退院した。【考察】静脈管閉鎖の適応検討には肝内門脈形態と静脈管閉塞状態での門脈圧測定が必要であるとされるが、造影CT検査、静脈管バルーン閉塞試験、腹部血管造影検査を組み合わせた評価が有用であった。また静脈管に還流する静脈の有無や部位を正確に評価することは介入方法の決定にあたり重要であると考えられた。