[P03-01] 未熟児動脈管開存症手術増加の原因とその影響
Keywords:未熟児動脈管開存症, インドメタシン予防投与, 超低出生体重児
【目的】当院では、2010年より脳室内出血予防目的に生後早期のインドメタシンの予防投与を開始している。しかし、未熟児動脈管開存症(PDA)に対する手術は近年増加傾向である。手術増加の原因、手術増加に伴う児への影響を検討した。【方法】2005年から2015年に当院NICUに入院した超低出生体重児(ELBW)について診療録を用いて後方視的に検討した。前期群(2005-2009年)、後期群(2010-2015年)にわけて比較検討を行った。統計はカイ二乗検定、t検定、Mann-Whitney U検定、ロジスティック回帰分析を使用した。【結果】当院NICUに入院したELBWは354例。入院中死亡(58例、前期群33例、後期群25例)、他院出生、多発奇形の症例を除外した280例を検討。前期群125例、後期群155例。動脈管手術を要したのは前期群9例(7.2%)、後期群25例(16.1%)、後期群で手術症例が多かった(p=0.037)。患者背景は出生体重、在胎週数、性別に差はなく、後期群でDD双胎が少なく、SGAが多かった。管理面は後期群でインドメタシン予防投与症例数、インドメタシン総投与回数、日齢7-30の水分投与量(ml/kg/day)、日齢0-30のステロイド総投与量(mg/kg)、NO吸入使用頻度が増加していた。患者背景と管理面の多変量解析で、インドメタシン総投与回数、ステロイド総投与量、水分投与量で有意差を認めた(オッズ比は1.18、1.04、1.1)。RDS、CLD、IVH、PVL、NEC、LCC、肺出血、消化管穿孔の発症率に両群で差はなく、後期群で在宅酸素導入率が高かった。また、後期群で体重増加率(g/day)や頭囲成長率(cm/day)が大きかった。修正1歳半、暦3歳における新版K式発達検査のDQ値は両群で差はなかった。【考察】急性期の水分投与量の増加に伴いPDA症候化、CLDの増悪する症例が増えたためインドメタシン投与回数やステロイド投与量は増加し、動脈管手術症例も増加したと考えられた。水分投与量の増加は体重増加や頭囲の成長に寄与したが、長期発達予後への影響はなかった。