[P03-03] 22q11.2欠失症候群に対する免疫能評価における新生児期TREC測定の有用性
Keywords:22q11.2欠失症候群, 免疫不全, TREC
【背景】22q11.2欠失症候群は胸腺低形成による細胞性免疫不全(T細胞の減少・機能不全)を合併することが知られているが、新生児期に詳細な免疫能評価を行うことは容易ではない。愛知県ではわが国で初めて重症複合免疫不全症を早期診断するため任意の新生児マススクリーニング検査としてT細胞機能評価の目的でT cell receptor excision circles(TREC)の測定を開始し、当院でもNICUに入院する疾病新生児に対して同検査を実施した。【目的】22q11.2欠失症候群における免疫能のスクリーニングとしてTREC測定の有用性を検討すること。【方法】2017年5月-12月に当院に入院した疾病新生児のうち検査の同意が得られた30例に対してTRECを測定し、22q11.2欠失症候群の患児における傾向を分析した。【結果】初回検査実施日齢の中央値は6(5-226)で、初回検査で6例が低値(30copies/μl未満)であった。22q11.2欠失症候群は心室中隔欠損の1例および双胎の2例(第1子は大動脈弓離断・心室中隔欠損・大動脈弁狭窄、第2子は肺動脈閉鎖・心室中隔欠損・主要体肺側副動脈)の3例で、双胎2例の初回TRECはいずれも低値であった。双胎第2子は再検査で上昇したが、第1子は再検査でも0copy/μlが持続し重症免疫不全が疑われた。双胎第1子は新生児期に壊死性腸炎を2回起こし壊死腸管切除を要したが、両側肺動脈絞扼術を経てNorwood手術を実施、感染予防目的でST合剤および抗真菌薬の内服を継続し8か月時までNICUで入院管理を行った。造血幹細胞移植の適応も検討したが、T細胞数は増加傾向であったため感染に十分注意し退院・外来管理とした。なお第2子は再検査で上昇した。【考察】月齢が経過してもTREC低値が持続する場合は重症免疫不全の可能性が否定できない。診断確定の時期は検討が必要であるが、22q11.2欠失症候群の生命予後改善のため重症免疫不全の早期診断は必要であり、スクリーニング検査でTRECを測定することは有用であると考える。