[P04-02] 岐阜県西濃地区における小学校1年生心臓検診-39年間のまとめ-
キーワード:学校心臓検診, 心臓突然死, 運動負荷試験
【背景】1973年の学校保健法改正による学校心臓検診の義務化以降、管理ガイドラインの整備や心エコー等諸検査導入により、心疾患の発見と管理において確実に成果が上がってきている。【目的】1978年から2016年の39年間の岐阜県西濃地区における小学校1年生心臓検診の実施概要・結果について評価すること。【方法】西濃保健所管内の学校心電図検診事業資料を基に、後方視的に結果を収集し検討した。【結果】総受検者数は42,729人で、要管理者の合計は1,594人(1.11%)。内訳は心構造異常590人(37%)、心電図異常493人(31%)、川崎病後459人(29%)の3つで大半を占めていた。新規診断は、心電図異常306人(0.21%)、心構造異常93人(0.07%)、心筋疾患28人(0.02%)で合計427人(0.3%)。心電図異常では心室期外収縮157/306人(51%)、心構造異常ではASD37/93人(40%)、心筋疾患ではLVNC27/28人(96%)がそれぞれ一番多かった。ハイリスク症例としてHCM1人、心室頻拍4人、上室頻拍5人、QT延長11人が診断された。また、2003年から3次検診で運動負荷試験が導入され、運動誘発性不整脈スクリーニングと検診の効率化に寄与している。【考察と結論】児童心臓検診開始当初の心疾患検出率は低い状況だったが、省略4誘導ECG、心エコー、小児循環器医の診察、運動負荷試験を導入したことにより、管理や治療が必要な心疾患の検出率と検診の効率が格段に上昇した。しかし、心臓突然死を引き起こす致死性不整脈や心筋症等のハイリスク症例の抽出にはいまだ不十分な可能性がある。2017年から1次で標準12誘導ECGが導入されたことでこれらハイリスク例の心疾患検出率向上が期待できる。