[P04-05] 学校心臓検診で発見された運動誘発性冠攣縮性狭心症の1例
キーワード:冠攣縮性狭心症, 運動誘発性, 学校心臓検診
【はじめに】冠攣縮性狭心症は冠動脈が過剰に収縮し心筋の虚血を来すことによって起こる狭心症で小児では極めて稀な疾患である.今回中学1年の学校心臓検診で偶然発見された症例を経験したので報告する.【症例】12歳の女児.家族歴に特記すべき事項はない.小学校3年頃から運動時胸部に違和感を感じる時があった.一度学外のダンスの発表会で倒れたことがあった休息を取り軽快したので熱中症と思い病院は受診していなかった.今回中学1年の学校心臓検診で軽度のST低下を認め二次検診対象者となった.二次検診の負荷心電図で著しいST低下を認め三次病院を紹介され受診となった.マスターダブル心電図(心拍数100/分)で軽度の胸痛を伴い全誘導で著名なST低下(最大0.4 mV)が見られた.胸部レントゲンには異常を認めず,心エコー図検査においても左室収縮能,左室壁運動に異常を認めなかった.血液検査では心筋トロポニンT陰性,NT-proBNP 776 pg/mLであった.MDCTでは冠動脈に狭窄性病変はなかった.心臓カテーテル検査では左右の冠動脈造影に有意な狭窄性病変はなく,続いて行ったアセチルコリン負荷試験(25,50μg)では胸痛,心電図異常を伴って左右の冠動脈に有意な攣縮を認めた.安静時には胸痛等の自覚症状,心電図異常はなく運動誘発性冠攣縮性狭心症と診断した.現在運動制限(C禁)に加え,カルシウム拮抗薬,ニコランジル等の内服を行いつつ循環器内科を中心に管理している.【まとめ】小児では極めてまれな運動誘発性冠攣縮性狭心症の1例を経験した.本人の自覚症状は乏しく,発見の契機が学校心臓検診での心電図検査であったことの意義は極めて大きい.