[P05-02] 先天性片側肺静脈閉鎖の2例
Keywords:肺静脈閉鎖, 肺低形成, 肺動脈低形成
【背景】先天性片側肺静脈閉鎖は稀な病態であり, 患側の胸郭及び肺動脈の低形成を伴って, 小児期以前の繰り返す肺炎や喀血を呈することが多い. 今回当院で診断された右肺静脈閉鎖の2症例について文献的考察を加えて報告する.【症例1】19歳 男生後, C型食道閉鎖, 右胸心の診断. 日齢4に食道気管支瘻閉鎖+胃瘻造設を施行された. 多呼吸, 体重増加不良が続くため, 4か月時に当院へ紹介. 6か月時にPDA coil塞栓+体肺側副血行のスポンゼル塞栓術を受け, 右肺動脈低形成, 右肺静脈閉鎖と診断された. 右肺動脈血流は末梢から中枢側への逆行性であった. 8歳時に喀血あり, 体肺側副血行のcoil塞栓を施行. その後は肺膿瘍や少量喀血があったが, 保存的治療で改善. 右肺切除も考慮しつつ経過観察中.【症例2】 13歳 女乳幼児期に右の肺炎を繰り返していたが, 成長とともに改善していた. 中学1年の学校健診で不整脈を指摘. 不整脈は洞不整脈であったが, 胸部X線で右胸心, 縦隔の右方偏位, CTで右肺, 右肺動脈の低形成あり, 当院に紹介. 心精査で, 右肺動脈低形成, 右体肺側副血行, 右肺動脈血流は末梢から中枢側への逆行性で,右肺静脈は造影されず, 右肺静脈閉鎖と診断した. 現在無症状で短絡量も少ないため経過観察中.【考察】先天性片側肺静脈閉鎖は, 発生学的には, 肺静脈叢と原腸静脈叢, 体静脈の結合消失後に, 片側性に肺静脈が閉塞したと考えられる. 乳幼児期以降発見例では後天的な要因との鑑別が必要となるが, 気管支閉塞が無いにも関わらず, 片側の胸郭の低形成を認める場合には先天性が示唆される. 患側肺動脈の逆行性血流が特徴で, 左右短絡となる. 患側の肺炎や喀血の繰り返しがあり, 症状が強い場合には肺切除も考慮される. 【結語】先天性片側肺静脈閉鎖の2例を報告した. 本疾患の血行動態は患側肺動脈を逆行する左右短絡が特徴で, 乳幼児期の繰り返す片側性肺炎や喀血を認めた場合には本疾患の考慮も必要である.