The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

胎児心臓病学

ポスターセッション06(P06)
胎児心臓病学 1

Thu. Jul 5, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:竹田津 未生(北海道療育園)

[P06-04] 出生後に高度気管狭窄症状を呈した左肺動脈右肺動脈起始(PA sling)の一例

加地 剛1, 早渕 康信2, 須賀 健一2, 中川 竜二2, 苛原 稔1 (1.徳島大学病院 産科婦人科, 2.徳島大学病院 小児科)

Keywords:左肺動脈右肺動脈起始, PA sling, 気管

左肺動脈右肺動脈起始(PA sling)は出生後気管狭窄による換気困難を来しうるため胎児診断が有用とされるが、その報告は少ない。今回我々は胎児期にPA slingを診断できたもの気管狭窄の予測は十分でなかったPA slingの一例を経験したので報告する。
症例は38歳 3回経産婦。妊娠28週、前置胎盤のために当院に紹介となった。初診時の胎児超音波検査時、カラードプラにて左心房と下行大動脈の間に左側に向かう動脈を認めた。この動脈は右肺動脈から起始し、気管の背側を通り左肺に向かっており、PA slingと診断した。一方で気管は、MRI(矢状断像)で前方への圧迫が疑われたものの、超音波(横断像)でPA slingと接する部位の気管はほぼ正常様に描出されたため、高度な気管狭窄は否定的と考えた。PA sling以外に三心房心と左上大静脈遺残を認めた。妊娠34週前置癒着胎盤のため全身麻酔下に帝王切開となった。児はsleepingの状態で出生し直ちに気管内挿管され呼吸管理が行われた。出生後換気状態は良好であったが日齢3より換気困難が出現し、日齢6のCTにて広範囲の気管狭窄を認め、高度の換気不全となった。その後徐々に換気は改善し日齢18に抜管となった。(まとめ)カラードプラでの左心房と下行大動脈の間の観察が診断の契機となったPA slingの1例を経験した。一方で出生前の気管狭窄の評価には限界があった。