[P07-01] 胎児大動脈肺動脈窓を含む胎児異常を契機に出生前診断された2番染色体短腕部分トリソミーの一例
キーワード:染色体異常, 胎児大動脈肺動脈窓, 2番染色体短腕部分トリソミー
【はじめに】2番染色体短腕部分トリソミーは比較的稀な染色体異常で、これまでの報告例も限られている。今回胎児複雑心奇形、大腿骨短縮、脳室拡大、肝腫大を契機に羊水染色体検査にて診断された2番染色体部分トリソミーの症例を経験したので報告する。【周産期経過】母32歳0妊0産。自然排卵にて妊娠成立。近医二次病院にて妊婦健診を施行。妊娠24-26週時に胎児大腿骨短縮、両側脳室拡大、胎児心異常、肝腫大を指摘され羊水染色体検査を施行。46,XY,dup(2)(p12p21)と診断。胎児心疾患について大動脈肺動脈窓・心室中隔欠損症と診断。胎児発育遅延が顕在化。出生後の心疾患管理目的に妊娠33週に当院産婦人科へ紹介。在胎38週2日、自然分娩にて出生。出生体重1853g,Ap 4/5。NICU管理開始。【出生後診断】・46,XY,dup(2)(p22p13) ・大動脈肺動脈窓・心室中隔欠損症 ・側脳室拡大・脳形成異常、てんかん ・両側停留精巣/左外鼠径ヘルニア ・軟口蓋裂 ・甲状腺機能低下症 ・小額症・挿管困難 ・難聴 ・気管支低形成・気管軟化症 【出生後経過】出生後うっ血性心不全が進行。日齢3より利尿剤開始、日齢9よりN-CPAP開始。生後2ヵ月で両側肺動脈絞扼術を施行。術中操作にて心肺停止状態となり左肺動脈絞扼術のみで終了。術後気管攣縮を反復、再度心臓外科手術を行う必要性があるため生後4ヵ月気管切開施行。以後徐々に心不全が進行。人工呼吸器からの離脱困難となり、抗心不全療法に反応せず、生後9ヵ月で永眠された。剖検では著明な左室拡大・肺うっ血・肺出血を認め直接死因と診断されたが、生前に気管内視鏡検査にて診断された気管支低形成の所見を認めなかった。【考察】2番染色体短腕部分トリソミーは比較的まれな染色体異常で報告が散見されるのみである。今後本疾患について症例を集積し、知見を深める必要があると考えられた。