第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション07(P07)
染色体異常・遺伝子異常 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:上砂 光裕(日本医科大学多摩永山病院 小児科)

[P07-02] 経口PGE1製剤の導入により自宅退院が可能となったDORV、PAを有する13 trisomyの1例

上桝 仁志1, 美野 陽一1, 坂田 晋史1, 橋田 祐一郎1, 倉信 裕樹2 (1.鳥取大学 医学部 周産期小児医学分野, 2.鳥取県立厚生病院 小児科)

キーワード:染色体異常症, 13trisomy, 経口PGE1製剤

【緒言】13 trisomy、18 trisomyなどの重症染色体異常の児においては、その生命予後から心疾患に対して外科治療が選択されないことも多い。中でも動脈管依存性心疾患の未手術例ではPGE1持続静注が必要となるため、在宅管理が困難となる。今回、経口PGE1製剤(Limaprost Alfadex:LA)の導入により在宅管理が可能となったDORV、PAを有する13 trisomyの1例を経験した。【症例】5ヶ月の男児。胎児期より心内奇形の指摘あり、在胎37週、体重2560g、分娩誘発中の心音低下のため、緊急帝王切開にて出生。出生後心エコーにてDORV、PA、PDAと診断しLipo-PGE1投与開始した。特異顔貌より13 trisomyを疑い染色体検査にて確定診断した。その後、SpO2は90%台で安定しLipo-PGE1の離脱を試みるも酸素化不良のため再開。家族と相談のもと、児の染色体異常より心疾患に対して積極的な外科的介入は行わない方針となった。在宅医療への移行を強く希望されたため、自宅退院を目標に院内の倫理委員会を経て経口PGE1製剤導入の方針とした。日齢90よりLA 2μg/kg/d内服を開始、最終的にLA 5.5μg/kg/dまで増量した。副作用として軽度の顔面紅潮と嘔吐は認めたが、重篤な副作用はなかった。効果判定として下行大動脈reverse/forward flow ratioの推移が有用であった。SpO2は低下傾向となったが最終的にはSpO2 70%台前半程度で安定し、母児同室を経て生後6か月に退院となった。現在1歳となっているがSpO2 70%台前半を維持できており再入院はなく家族と自宅での生活を続けられている。【考察】LAは末梢血管拡張および血小板凝集抑制作用を持ち、PGE1持続静注の代替療法として1990年代より報告が散見される。最終投与量は成人使用量と変わらなかったが、許容範囲内の副作用に留まった。動脈管依存性心疾患で外科治療が不適応となった場合、在宅医療移行を目的とした経口PGE1療法はPGE1持続静注代替としての選択肢の一つとなりうる。