[P07-03] 18 trisomyにおける不整脈発生頻度の検討
キーワード:18 trisomy, 不整脈, 徐脈性不整脈
【背景】近年18trisomy (18T)に対する積極的治療介入に伴い,長期生存例が増加しているが,不整脈発症頻度に関する検討は希少である.【目的】18Tの不整脈発症頻度について検討する.【方法】2012年1月から2017年12月に入院した18Tの患者背景,不整脈発症の有無及び臨床像を検討した.また,同期間に当院を受診したage matchedなVSD及びVSDを合併した21trisomy(21T) を対象に,不整脈発症頻度,平均心拍数を比較検討した.【結果】症例の内訳は,18T 23例,VSD 15例,21T 12例で,18T群の平均出生体重は1643±269g,妊娠週数は37±3週だった.18T群は全例心奇形を有し,VSD 16例,DORV 4例,AVSD 1例,他2例で,VSDは全てinlet extensionだった.18T群で心臓手術は9例(39%)施行され,全例姑息術で根治術は施行されなかった.18T群全体の死亡例は10例(43%)であった.出生後,心電図記録が可能だった18T群 17例で不整脈発生頻度を検討した.17症例中3例で徐脈性不整脈を発症し(I AVB 2例,II AVB 1例),1例で頻脈性不整脈発症後に,徐脈性不整脈を発症した(AT,II AVB).徐脈性不整脈発症時期は,生直後1例,生後1ヶ月時2例,生後3ヶ月時1例であった.抗不整脈薬は頻脈性不整脈を発症した症例で1ヶ月間内服し,徐脈性不整脈は無治療で経過観察した.不整脈を発症した4例で死亡例はなかった.VSD群及び21T群で1歳までに不整脈を発症した症例はなかった.3群間における1歳までの平均心拍数は,新生児期(139±11 vs 153±9bpm),乳児期前半(手術前)(126±17 vs 147±17bpm),乳児期後半(手術後)(123±15 vs 135±14bpm),1歳時(115±12 vs 126±16bpm)で,18T群はVSD群より有意な心拍数低下を認めた.【考察】18Tの不整脈発症頻度に関する原著論文は存在しないが,胎児期に18T症例が徐脈傾向である事は報告されている.18TはVSD群と比較して低心拍数だが,徐脈性不整脈が生命予後に関与している可能性は低いと考えられた.