[P07-04] 先天性心疾患を合併したダウン症候群の術後肺高血圧と気道感染時の肺高血圧の増悪についての検討
キーワード:ダウン症候群, 先天性心疾患, 肺高血圧症
【背景】ダウン症候群(DS)児では先天性心疾患(CHD)術後も肺高血圧(PH)が残存することが問題となる。【方法】2011年9月から2017年8月までの期間、心内修復術後当院で心カテを施行したDS児6例について後方視的に検討し、肺血流増加型CHD術後の非DS児12例と比較する。【結果】DS児6例はVSD3例、PDA1例、TOF1例、AVSD1例。術前安静時の肺血管抵抗(Rp)=4.7-7.7U・m2(中央値5.6U・m2)、術後安静時のRp=1.4-4.5U・m2(中央値2.45U・m2)。非DS児12例は、VSD10例、PDA2例。術後安静時のRp=0.6-2.2U・m2(中央値1.55U・m2)。DS児の6例中3例で術後気道感染時にPHの増悪を認め、うち2例で挿管管理を要した。1, 1歳1ヶ月女児。2ヶ月時PDA ligation施行。術後4ヶ月の心カテでPAPmean=23mmHg、Rp=2.3U・m2。インフルエンザA型肺炎を契機にPH crisisを来し5日間挿管管理を要した。2, 6ヶ月男児。2ヶ月時、VSD closure施行。術後4ヶ月時、ウイルス性肺炎を契機にPH crisisを来し7日間挿管管理を要した。3, 3歳7ヶ月女児。10ヶ月時、TOFに対しICR施行。術後7ヶ月の心カテでPAPmean=25mmHg、Rp=4.5U・m2。術後2年9ヶ月に肺炎発症時に心エコーでPH moderateと増悪を認め、酸素投与7日間を要した。DS児3例とも術後より肺血管拡張薬2剤以上内服中であり、非感染時の心エコーによる拡張末期の左室形は円形であった。非DS児のうち気道感染入院時に心エコーでPH増悪を認めた例なし。【考察】DS児では非DS児に比べ心内修復術後も肺血管抵抗が高い傾向がある。CHD術後のDS児では肺血管拡張薬使用下で普段はコントロール良好でも気道感染罹患時はPH増悪に注意が必要である。