[P08-01] 新病院設立およびPICU設立に伴う周術期管理の変化
キーワード:術後管理, 集中治療, PICU
【背景】近年、ICUに専従する集中治療医による周術期管理がアウトカムを改善する可能性が報告されている。埼玉県立小児医療センター(以下「当院」と呼称)では新病院への移転に伴い2017年1月より小児集中治療室(PICU)を設立し、専従医師による管理を開始した。当院における周術期管理の変遷についてまとめた。【目的】当院の旧病院と新病院での先天性心疾患術後の周術期管理について比較する。【方法】観察期間は旧病院を2015年1月1日から12月31日の間とし、新病院を2017年1月1日から12月31日とした。この期間に心室中隔欠損症(VSD)または心房中隔欠損症(ASD)に対する心内修復術を受け、術後に集中治療室に入室した症例を対象とした。患者背景、手術記録、術後の人工呼吸や水分管理についてデータを収集し比較した。データは中央値(四分位範囲)で示し、連続変数はMann Whitney U検定、名義変数はχ2乗検定を用いて検定を行い、p値0.05未満を有意とした。【結果】旧病院では総数50例、うちVSDが33例であった。新病院では総数60例、うちVSDが42例であった。患者背景では年齢や体格、染色体異常合併の割合に有意差は認めなかった。手術に関しては、手術時間や人工心肺時間に有意差はなかったが、大動脈遮断時間は新病院の方が有意に短かった(新病院65 (36-80) vs 旧病院 84(34-115)[分])。術後人工呼吸期間は旧病院の方が短い傾向があったが、有意差は無く、集中治療室滞在期間は同等であった。術後1日目の水分出納については新病院の方が水分投与が有意に少なかった(新病院12.8 (0.0-27.1) vs 旧病院 27.0(-1.1-52.9)[mL/kg])。【考察】新病院と旧病院ではいくつかの点で違いが認められた。患者のアウトカムに大きな差はなかった。【結論】新病院と旧病院での管理の違いの現状が明らかになった。