第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理

ポスターセッション08(P08)
集中治療・周術期管理 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:北川 哲也(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 心臓血管外科学分野)

[P08-02] 心臓カテーテル検査中の深鎮静における呼気二酸化炭素モニタ(ETCO2)の有用性

高橋 努, 妹尾 祥平, 小山 裕太郎 (済生会宇都宮病院 小児科)

キーワード:呼気二酸化炭素, 深鎮静, 心臓カテーテル検査

【背景】自然睡眠では呼吸や循環が危うくなると覚醒するが、鎮静下では防御反応も抑制され呼吸停止や心停止のリスクがある。パルスオキシメーターは酸素化のモニタであり換気のモニタではない。全国の心カテの深鎮静は半数が小児科医が行い、15%の施設でのみETCO2モニタを行っている。【目的】深鎮静下の心カテ中のETCO2モニタの有用性を検討する。【対象】6か月~12歳の16名。【方法】チオペンタールを1mg/kg投与し2mg/kg/時で維持した。体動により1mg/kgを適宜追加した。Expression MR400を用い、ETCO2、SpO2、心拍数(HR)、呼吸数(RR)を測定した。ETCO2と動脈血液ガスのpCO2を同時測定した13名について、回帰分析とBland-Altman分析により一致度を検討した。【結果】ETCO2とpCO2はよく相関し、回帰分析で相関係数0.63、p=0.02であった。Bland-Altman分析では、ETCO2-pCO2の差の平均(バイアス)は-0.55、95%信頼区間は-3.54~2.44で系統誤差はなかった。±9.5の精度(これ以内は測定誤差)を伴った-0.55のバイアスを実証した。鎮静薬追加により対応が必要、またはETCO2が有意に上昇したのは以下2例である。【症例1】2歳の川崎病後冠動脈瘤。2回追加した後、SpO2が97から91に低下し、動脈血液ガスでpO2が68のため酸素投与を要した。ETCO2に変化はなかった。【症例2】6歳の川崎病後冠動脈瘤。2回追加した後、ETCO2が37から49に上昇し、HRは132から152、RRは26から11になった。その2分後にETCO2は低下し始め、5分後にETCO2は39、HRは137、RRは19 に戻り処置を要さなかった。SpO2は変化なかった。【考察】呼吸管理では酸素化と換気は分けて考える。SpO2の低下がなくてもETCO2が上昇していることがあり、RRやHRの変化のみから換気不全は評価できない。稀でも重篤な合併症のリスクがある以上、深鎮静を行う場合はETCO2をモニタするとよい。特に鎮静薬追加の際に注意し、ETCO2が10以上上昇すれば有意な変化の可能性がある。