[P09-02] 胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術施行後の双胎間輸血症候群の受血児および供血児にも心機能異常を認めた一例
Keywords:TTTS, FLP, 心筋症
【緒言】双胎間輸血症候群(TTTS)は、一絨毛膜性双胎児において10~15%に発症する予後不良な疾患である。近年、胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)が開発され、その予後は劇的に改善している。TTTSの心血管病変としては受血児の高血圧、心筋症、三尖弁逆流や右室流出路狭窄が有名であるが、供血児の報告は少ない。今回、我々はFLPの治療後に受血児のみならず、供血児にも心機能異常を認めた一例を経験し、文献考察を踏まえて報告する。【症例】自然妊娠で妊娠成立し一絨毛膜二羊膜性双胎児の診断で周産期管理が行われた。妊娠25週にTTTS stage1と診断され、妊娠26週にFLPを施行された。その後は有意な羊水差なく経過良好であった。妊娠33週に前期破水があり自然経腟分娩となった。両児ともにApgar Score 8/10点、体重は1800g台であった。Hb差は貧血多血症候群の定義は満たさなかった。出生時の心エコーで、両児とも心構造異常は認めず、収縮能正常であった。生後、尿量・血圧安定し、多呼吸や哺乳不良なく経過した。修正37週(日齢29)、定期の心エコーフォローで、受血児はLVDd=18.4mm(114% of normal)、LVEF=0.51、供血児はLVDd=18.8mm(112% of normal)、LVEF=0.49と心拡大および収縮能の低下を認めた。受血児では心筋厚は正常範囲内であったが、供血児では正常の80%程度に菲薄化し拡張型心筋症様であった。両児とも有意な弁逆流認めず、拡張能正常であった。利尿薬による治療介入を開始し、約半年後に心拡大・収縮能・心筋厚の改善を認めた。【結語】FLPにより胎児循環の改善を認めた後も、TTTSに罹患後の患児においては受血児のみならず、供血児も厳密な心エコーフォローが必要であると考える。