[P10-02] 自然解熱後もCRP陽性が遷延し、冠動脈病変を合併した不全型川崎病症例
キーワード:不全型川崎病, 冠動脈瘤, CRP持続陽性
【はじめに】川崎病の中には典型的な症状を呈さない不全型も多く、診断に苦慮することが多い。しかし定型例と比較しても冠動脈病変合併頻度は同等かそれ以上とされるため、非典型例をいかに早期に診断し、心合併症を防ぐための治療を行うことが重要である。今回発熱以外の川崎病所見に乏しく、かつ経過中自然に解熱したもののCRP陽性が遷延し、結果として冠動脈病変を呈した不全型川崎病乳児例を報告する。【症例】生後3か月の女児。発熱を認め、第1病日に紹介医に入院した。CRP 8.0mg/dL、尿中WBC(+)で尿路感染症として抗菌薬が開始されたが解熱せず、第3病日に眼脂と軽度眼球結膜充血が出現したがすぐに消失した。また手足と口に手足口病様発疹が見られたが数日で消失した。以降も抗菌薬不応の発熱が持続した。第8病日に心エコーを施行されたが、有意な所見は認めなかった。同時期から解熱し、CRPも3.2mg/dLに低下し始めた。第8病日以降は発熱を認めなかったが、第11病日に手指の落屑を認めたため、不全型川崎病が疑われ、アスピリンの内服が開始された。第12病日に紹介医を退院後、心エコーフォロー目的に当科を第14病日に紹介受診した。心エコーで#5に4mm大の拡張、#1にも2.7mmの拡張を認めた。発熱はないものの、第16病日にCRP 2.80mg/dLと改善なく、炎症の残存から冠動脈病変の進行が懸念されたため同日入院し、IVIG 2g/kgを開始した。CRPは第23病日に陰性化したが、冠動脈瘤を残した。以降冠動脈病変の進行はなく、第27病日に退院した。生後7か月に実施した冠動脈造影では、冠動脈病変は退縮傾向だった。【まとめ】本症例は、解熱後もCRP陽性が遷延し、冠動脈瘤を合併した。川崎病の病勢に発熱は欠かせないものであるが、炎症マーカーの改善も確認することが重要である。