[P10-05] 川崎病冠動脈病変合併例における遠隔期治療と生活管理
Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, 遠隔期管理
【目的】当院の冠動脈病変を合併した川崎病罹患児の治療、学校生活管理の現状を把握し、遠隔期管理の課題を検討する。【方法】1993-2017年に当科で入院管理された、冠動脈病変合併川崎病患者68例のうち、ドロップアウト、他院紹介され詳細不明、急性期死亡などの11例を除く57例について、遠隔期治寮や学校生活管理指導区分等について診療録より後方視的に調査した。【結果】発症時年齢2か月-7歳(中央値2歳)、男女比43;14で、小動脈瘤(4mm以下)8例・中等瘤(4-8mm)34例・巨大瘤(8mm以上)15例であった。遠隔期の内服治療継続は33例(58%)で、全例抗血小板薬を内服していた。抗凝固薬を併用しているのは狭窄病変17例中10例、虚血病変10例中5例、巨大冠動脈瘤15例中9例であった。また、虚血病変症例2例に硝酸薬が併用、巨大冠動脈瘤6例にβ遮断薬やCa拮抗薬が併用されていた。非薬物治療は経カテーテル治療6例(経皮的冠動脈形成術2例、rotablator2例)で全例有効、再狭窄率は1/6例(17%)、冠動脈バイパス術2例で開存率は2/2例(100%)、全8症例で抗血小板薬と抗凝固薬を併用していた。いずれも遠隔期死亡例および心事故発生や出血性合併症を認めなかった。学校生活管理指導区分はE可管理39例、E禁管理の12例、D管理6例であり、虚血病変10例全例でE禁以上の運動制限があった。狭窄・虚血病変を認めない38例中33例(87%)がE可管理であった。【結論】瘤や狭窄病変の程度、虚血所見の有無で管理区分が決定されていた。巨大冠動脈瘤全例に抗凝固薬使用はしておらず、巨大瘤や狭窄病変のある症例でもE可管理となる例もありガイドラインでの推奨と実際の管理で差異のある症例を認めるが、有害事象および合併症を認めた症例はなかった。