[P12-05] 位相差コントラスト法とFick法とを用いて算出した心房中隔欠損の肺体血流比の比較
キーワード:Fick法, 位相差コントラスト法, 肺体血流比
【背景】心房中隔欠損の治療適応を判断する際に肺体血流比(QP/QS)の評価が必要となる。従来,QP/QSの評価はFick法を用いて行われてきたが,近年CMRの普及に伴い位相差コントラスト法(PC法)を用いて行われるようになってきた。Fick法とPC法との相関性と一致性については報告があるものの,どの程度の誤差があるかついてはあまり言及されていない。【目的】ASD症例において,Fick法とPC法とで求めたQP/QSの誤差について検討すること。【方法】2014年1月から2017年12月までの間にCMRを行ったASD44例のうち,心臓カテーテルをこれと近い時期に行った22例(年齢14.9±4.9歳)。PC法によるQP/QS(PC-QP/QS)は,上行大動脈血流(=QS)と主肺動脈血流(=QP)とから算出した。Fick法によるQP/QS(Fick-QP/QS)は,上大静脈血を混合静脈血として算出した。【結果】22例全例全身麻酔下で心臓カテーテルを行った。22例中1例で全身麻酔時に酸素投与を要したため,残る21例で検討を行った。PC-QP/QSは1.74±0.38,Fick-QP/QSは2.07±0.78であり,Fick-QP/QSが大きく算出される傾向であった。PC-QP/QSとFick-QP/QSでBland-Altman分析を行ったところ,加算誤差はなかったが(95%信頼区間0.34±0.35),値が大きくなるに従い比例誤差を認めた。【考察】Fick法適応時に混合静脈血に上大静脈血のみを使用した場合,下大静脈を加味した場合よりも混合静脈血を低く見積もりやすい傾向があること,ガスサンプリング上の誤差が比較的大きいことが,系統誤差につながるためと考えた。【まとめ】Fick法とPC法によるASDのQP/QSを比較する際には誤差を十分考慮する必要がある。