The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

心血管発生・基礎研究

ポスターセッション13(P13)
心血管発生・基礎研究 1

Thu. Jul 5, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:武田 充人(北海道大学病院 小児科)

[P13-04] 稀な一側肺動脈欠損(右肺動脈下行大動脈起始)の一例

佐藤 有美1, 阪田 美穂1, 白井 丈晶1, 山本 真由子2, 圓尾 文子2 (1.加古川中央市民病院 小児科, 2.加古川中央市民病院 心臓血管外科)

Keywords:unilateral pulmonary artery atresia, MAPCA, open heart surgery

【はじめに】一側肺動脈欠損において、遠位の右肺動脈は右動脈管に依存するのが一般的である。今回我々は、遠位の右肺動脈が下行大動脈から起始する、稀な一側肺動脈欠損の症例を経験したので報告する。【症例】胎児期に異常の指摘なし。在胎36週5日、体重2944gにて出生した女児。生後、前医にて泡沫状嘔吐を認めたことにより食道閉鎖と診断され、心雑音精査で施行された心エコーにて、右心系の拡大と三尖弁閉鎖不全を指摘された。日齢1に精査加療目的に当院へ搬送となった。入院時の心エコーにて右肺動脈が確認できず、日齢2のCTにて右肺動脈が下行大動脈から起始していることに加え、右上の肺葉外肺分画症と診断された。心内に構造異常は認めなかった。主肺動脈から繋がる痕跡的な2mm程度の右肺動脈を認めたが、盲端であった。右室の血液は左肺動脈及び動脈管を介して下行大動脈に流れており、中等度の三尖弁閉鎖不全を認めた。肺高血圧と右心系の圧・容量負荷が持続したため、日齢32に右肺動脈再建術を施行した。気管分岐部が非常に頭側に位置しており、右肺動脈は右気管支の左側を通過する形で、後壁は主肺動脈の一部を利用し、前壁は自己心膜を補填して形成した。術後2ヵ月で、右肺動脈吻合部狭窄に対しバルーン拡大術施行を要したが、末梢血管の発育は良好に経過している。【考察】本症例の診断に関して、一側肺動脈欠損とすると、遠位右肺動脈が動脈管に依存しない点が典型的ではない。MAPCAとすると、1本の節間動脈が右の全肺区域を交通する点が典型的ではない。食道閉鎖や肺分画症の合併の観点から検索するも、同様の症例の報告は検索し得なかった。【結語】希少症例であり、診断・治療方針に難渋したため、発生学的な考察を交え、報告する。