[P14-01] Bridge to EXCOR:小児重症心不全に対する遠心ポンプを用いた定常流型LVAD管理の経験
キーワード:小児重症心不全, 定常流型VAD, EXCOR
【はじめに】心臓移植待機中に急性増悪からVA-ECMO導入,bridge to decisionとしての定常流型LVAD管理を経てEXCOR装着に到達した拡張型心筋症の小児例を経験した.
【症例と経過】拡張型心筋症の1歳男児.9ヶ月時に感冒罹患から高度の循環不全に至りVA-ECMO導入,一旦は離脱し内科的心不全管理を継続,心臓移植実施施設へのコンサルトを経て移植適応を確認されたが,生後11ヶ月時に循環破綻から蘇生事象に至り再度VA-ECMOを導入.1) 拡大した心臓による左主気管支の圧排閉塞所見 2) 蘇生処置に伴う神経学的合併症の有無 3) LVAD移行後の右心不全の可能性 などの懸念から,まず定常流型LVADで管理を行いつつEXCOR装着の適応を判断する方針となり,1歳0ヶ月時に左室心尖脱血,上行大動脈送血による定常流型LVADへ移行(EXCOR専用の送脱血カニュラを使用).術後は右心不全への対処としてカテコラミンおよび 吸入一酸化窒素を使用,また,ヘパリン,ワーファリン,アスピリン,チクロピジン投与による抗凝固・抗血小板療法を継続,回路内の血栓形成に対し計6回の回路交換を要したものの,出血や感染,神経学的合併症を認めることなく経過して,第29病日に認定施設へと搬送,体外の駆動装置をEXCORに変更し,現在は一般病棟において移植待機中である.
【考察】EXCORの使用には種々の社会的な制限があり,移植待機患者の予期せぬ循環破綻に対して必ずしも迅速な装着が可能とは限らないため,何らかの補助循環管理下での待機を強いられる状況が起こりうる.遠心ポンプを用いた定常流型LVADは臨床経験が乏しく,報告された成績も芳しいものではないが,厳密な抗凝固管理・回路内血栓形成に対する迅速な回路交換・適切な流量設定・EXCOR専用送脱血カニュラの使用などの配慮で合併症なく管理し得た.ECMOと同等のデバイスで行えることから,EXCOR装着認定施設以外でも施行可能な小児LVADの選択肢として,今後の可能性が期待される.
【症例と経過】拡張型心筋症の1歳男児.9ヶ月時に感冒罹患から高度の循環不全に至りVA-ECMO導入,一旦は離脱し内科的心不全管理を継続,心臓移植実施施設へのコンサルトを経て移植適応を確認されたが,生後11ヶ月時に循環破綻から蘇生事象に至り再度VA-ECMOを導入.1) 拡大した心臓による左主気管支の圧排閉塞所見 2) 蘇生処置に伴う神経学的合併症の有無 3) LVAD移行後の右心不全の可能性 などの懸念から,まず定常流型LVADで管理を行いつつEXCOR装着の適応を判断する方針となり,1歳0ヶ月時に左室心尖脱血,上行大動脈送血による定常流型LVADへ移行(EXCOR専用の送脱血カニュラを使用).術後は右心不全への対処としてカテコラミンおよび 吸入一酸化窒素を使用,また,ヘパリン,ワーファリン,アスピリン,チクロピジン投与による抗凝固・抗血小板療法を継続,回路内の血栓形成に対し計6回の回路交換を要したものの,出血や感染,神経学的合併症を認めることなく経過して,第29病日に認定施設へと搬送,体外の駆動装置をEXCORに変更し,現在は一般病棟において移植待機中である.
【考察】EXCORの使用には種々の社会的な制限があり,移植待機患者の予期せぬ循環破綻に対して必ずしも迅速な装着が可能とは限らないため,何らかの補助循環管理下での待機を強いられる状況が起こりうる.遠心ポンプを用いた定常流型LVADは臨床経験が乏しく,報告された成績も芳しいものではないが,厳密な抗凝固管理・回路内血栓形成に対する迅速な回路交換・適切な流量設定・EXCOR専用送脱血カニュラの使用などの配慮で合併症なく管理し得た.ECMOと同等のデバイスで行えることから,EXCOR装着認定施設以外でも施行可能な小児LVADの選択肢として,今後の可能性が期待される.