[P14-04] 当院における小児補助人工心臓装着患児の海外渡航心移植の経験
Keywords:心臓移植, 渡航移植, 補助人工心臓
【背景】国内での小児心臓移植が行われるようになったが、ドナーが少ないのが現状である。このため海外渡航心臓移植を選択する症例が認められる。また補助人工心臓(VAD)装着例ではVAD装着での渡航となるが、現在では世界共通デバイスであるEXCOR Pediatrics VADが本邦でも使用可能となり、その渡航方法は変化している。【対象】2004から2007年にNIPRO VAD装着下に渡航移植を行った5例(症例1:10歳・男児・BW24kg、症例2:14歳・女児・BW 39kg、症例3:6歳・女児・BW 16kg、症例4:12歳・男児・BW53kg、症例5:3歳・女児・BW 12kg)、2008年にEXCOR VAD装着下に渡航移植を行った1例(症例6:2歳・女児・BW 12kg)の6例を対象。渡航先は独国2例、米国4例。【結果】症例1は渡航先での脳梗塞にて移植適応外となり、VAD装着のまま帰国後死亡。症例2-5はすべて心移植後、復学し、症例2・4は就学後就労している。症例6は渡航先で移植待機中である。渡航方法は症例1から5は大型旅客機の座席を数十席確保し、VAD予備機とともに渡航。症例6は医療設備付きプライベートジェット機にて渡航した。渡航移植治療費は全例募金にてまかなった。募金目標額は症例1:7000万円、症例2:8000万円、症例3:9000万円、症例4:7000万円、症例5:1億円、症例6: 3億1千万円であった。【考察】10年前のNIPRO(Toyobo) VAD装着での海外渡航では大型旅客機の座席を数十席確保し渡航していたが、現在は航空機が医療設備付きプライベートジェット機に変更され、VAD装着下での海外渡航に特化してきている。また、治療費総額は物価の変動以上に高騰していた。この治療費が高騰している事もあり2018年1月から国外での医療費に対し、健康保険による補助が行われるようになったが、治療費すべてを賄えるほどの補助では無いのが現状である。