[P14-06] 心房頻拍による頻脈誘発性心筋症にカテーテルアブレーションが奏功した12歳男児例
Keywords:頻脈誘発性心筋症, カテーテルアブレーション, 拡張型心筋症
脈誘発性心筋症は頻脈に続発する左室機能不全であり、心拍の正常化後に左室機能不全が一部または完全に回復する病態と定義されている。今回、内科治療に抵抗性である重症心不全の12歳男児が頻脈誘発性心筋症の診断となり、心房頻拍に対するカテーテルアブレーションが奏功した症例を経験したので報告する。症例は12歳男児。小学校1年時の心電図検診では異常を指摘されなかった。発症直前まで部活動を行なっていたが、呼吸苦が出現し救急外来を受診した。受診時の胸部レントゲンでCTR70%、頻脈を指摘され近医入院となった。近医入院時は心拍数130bpm、心エコーではEF19%、LVDd77mm BNPは1700pg/mlと重度の心不全であった。約3ヶ月間にわたり利尿剤や強心剤による加療を行ったが、CTR68%、EF22%、BNPは900 pg/ml程度までしか回復せず、顔色不良や消化器症状が出現してきたことから、内科治療に抵抗性の重症拡張型心筋症として植込み型補助人工心臓の適応を検討するために当院転院となった。転院時は心拍150bpm、EF10%、LVDd83mm、BNP710pg/mlと拡張型心筋症に矛盾しないと考えられた。ところが、入院後に心拍がさらに上昇し170bpmとなっても血圧は比較的維持され、短時間ではあったが1日に数回心拍が80-90bpmになる現象が観察されたことから頻脈誘発性心筋症を疑い電気生理検査及びカテーテルアブレーションを施行した。マッピングの結果、右心耳下方を起源とする心房頻拍の診断となり、数回の通電で頻脈は停止した。アブレーション後半年が経過し、CTR49%、EF40%、LVDd50mm、BNP7.1pg/mlまで回復を認め復学可能な状態となった。頻脈誘発心筋症は小児において比較的稀な疾患ではあるが、拡張型心筋症の鑑別疾患として念頭におくべき疾患であると考えられた。